前回のパルスモードの記事の続きです。
BLDCに流す波形が決まったので次は実際にモノを作っていきます。
基板1枚でBLDC2台を駆動しこれを3枚使用して6台のBLDCを駆動する構成にしました。今回は基板1枚にATmega328Pを1つ載せマイコン1台で2つのモータを制御する構成にしましたが、パルスモードの検討の結果これがかなりの痛手になってしまいました。(詳細は最後に書きます)
回路の信号の流れとしてはマイコンの出力→絶縁用の信号用フォトカプラ(TLP2361)→ゲートドライバ(NCP5104)→MOSFET(TPCA8024)となっています。似た構造のモータドライバでは絶縁用にもゲート駆動用フォトカプラを使う例も見られますが、信号用フォトカプラはこれらより安価で周波数帯域が広いのが特徴です。
ゲートドライバに関してはRSで安さと性能を比較検討してNCP5104にしました。50個購入で1つあたり50円、出力電流Out250mA Sink500mA動作電圧範囲9~20Vと個人レベルではコスパがいいほうだと思います。なお、MOSFETはヤフオクの安いやつです。
KiCadなので3DViwerで確認をしてからFusionPCBに発注して基板を組み立てます。
これを3枚作ればBLDCの基板は完成です。
STM32マイコンのDMA機能を使って確実に制御信号を受け取れるようにしました。
MIDIの受信のプログラムに関しては過去の記事に書いています。
基板が完成したので次は本体を作っていきます。
続いてソフトウェアを作っていきます。
シリアルでの受信と回転速度の設定部以外は基本的にコンペアマッチ割り込みで処理を行っています。タイマー0,2の8bitタイマーを回転界磁生成用,
タイマー1の16bitタイマーをPWM生成用に使ってます。
PWMを高周波にしたことでこのPWM生成の割り込み(コンペアA,B割り込みとオーバーフロー割り込みでPWMを生成)の回数が非常に多くなり処理性能の限界が結構来ました。実験的にはPWM周波数はマイコンクロックの1/1024が限度でした。そのため、実際にBLDCを回したい場合はPWMをハードウェアで生成できるようにモータ1台につき1つのマイコンを使うことを強く勧めます。
余計なコードも混じってますが、実際に使用したコードを公開します。
https://github.com/HanDenMotor/BLDCMusic-ATmega328P
(PWM周波数の確保を目的にATmega328Pを24MHzでオーバークロックしてるので注意)
そして完成。
動画がこちら
https://www.nicovideo.jp/watch/sm34805846
以上簡単ですが、作品の製作日記でした。
使用する部品によってはフットプリントを編集しなければならない場合があります。今回はその編集方法を紹介します。
フットプリントの修正操作は基本的にプリント基板エディタのフットプリント版のようなものですが、配線が無いなど異なる箇所もあります。
8-1基板上に配置したフットプリントの編集
プリント基板エディタ上で編集したいフットプリントを右クリックして「フットプリントエディタで開く」(下図選択項目)をクリックしてフットプリントエディタを起動します。
まずは、基板上のフットプリントを編集する際に使う機能を紹介します。
↑1: 基板に変更を保存 現在編集しているフットプリントの変更点を基板上に反映させる機能です。
→2:パッドを追加 コンポーネントの端子や固定穴などをあけるパッドを追加する機能です
→3:図形ライン(円,円弧,図形ポリゴン,テキスト)を追加 シルク上に図形や文字などを追加する機能です
8-1-1パッド・シルク・文字・図形の移動
プリント基板でのフットプリントの移動と同様に、移動したいものにカーソルを当てて「M」キーを押し、移動先でクリックします。移動の位置はグリッドの位置を参考にするほか、画面右下の座標表示や、次に紹介するパッド設定で座標を入力して設定します。
グリッド幅は上部の「グリッド:〇〇mm」部(下図)で調整します。基本的に1.27mmか2.54mm程度にするとよいでしょう。

8-1-2パッドの設定の変更
穴の大きさや種類、穴の周囲のパターンの大きさ(以後パッドサイズ)やパッドの位置などの変更も可能です。
編集したいパッド上にカーソルを置いたうえで「E」キーまたは右クリック「プロパティ」(下図選択項目)をクリックして「パッドプロパティ」を開きます。
この画面でパッドの各種設定が可能です。主に使用する設定項目を以下に示します。
←1:パッド形状 パッドの種類を変更できます。スルーホール部品や固定穴は「スルーホール」、表面実装部品は「SMD」を選択します。表面実装のコネクタの場合は「コネクタ」を選択します。表面実装ではないのコネクタの場合は「コネクタ」では無く「スルーホール」を選んでください。「コネクタ」では穴が開きません。固定穴など電気的接続が無い穴はNPTHを選択します。
←2:形状 パッドの形状を変更できます。基本的には円形ですが、部品形状や必要強度によって楕円などの形状に変更します。1番ピンの場合は四角にすると区別がついてわかりやすくなります。
←3:X(Y)位置 パッドを配置する座標を入力します。原点(基本的に1番ピン)からの位置の距離を入力します。
←4:サイズX(Y) パッドサイズを設定します。円の場合は直径、楕円の場合はX,Y各方向での直径、四角や台形の場合は幅と高さになります。円の場合は、サイズYは入力できません。(台形の場合上辺と下辺の差は「台形のデルタ」に入力します)
←5:穴形状 ドリルの穴の形状を入力します。基本的には「円形穴」ですがコネクタなど足の形状に応じて「楕円穴」と使い分けます。
←6:穴サイズX(Y) ドリルの穴の直径(楕円形状の場合はX,Y各方向の大きさ)を入力します。部品の足の直径に応じて変更してください。部品の足より少し大きめにしておかないと足が刺さらなくなるのでご注意ください。
パッドがNPTHの場合はドリルの直径とパッドの直径を同じにします。
使用することは少ないですが、片面のみに銅箔を設けるなどをしたい場合は右側下部のレイヤーを変更します。
8-1-3パッドの追加
右側ツールバーの「パッドを追加」(図8-1→2)をクリックしてパッドの配置モードに入ります。パッドを配置したい個所でクリックするとパッドが配置されます。通常は既存のパッドと同一のパッド設定でパッド番号は続き番号になります。パッドの設定を変更する必要がある場合、先ほどと同じように編集します。
シルクへの図形の配置はプリント基板と同様の手順で作業が可能です。詳しくはプリント基板エディタの記事をご覧ください。また、シルク以外にも画面上のみで確認できる「F.Fab」や「B.Fab」レイヤーにも図形配置が可能なので必要に応じて使い分けてください。
編集が完了したら、上部ツールバーの「基板に変更を保存」(起動画面の図の↑1)をクリックして変更結果を保存します。
8-1-4図形の追加
右側ツールバーの「図形ライン(円,円弧,図形ポリゴン,テキスト)を追加」(図8-1→3)をクリックして図形の配置モードに入ります。部品の形状に合わせてプリント基板と同様にシルク線などを引いていきます。
8-2フットプリントライブラリの編集
まずは「フットプリントエディタ」(図1-2の↑4)を起動させます。
起動すると、先ほどの基板上のフットプリントの編集画面とほぼ同じ画面が表示されます。
ただしライブラリの編集の場合操作が大きく異なります。
□←1:ライブラリ 編集するライブラリ・フットプリントの選択を行えるほか右クリックで既存のライブラリへのフットプリントの追加、新規・既存のライブラリの追加なども行えます。
↓2:新規フットプリント 新たなフットプリントを作成します。このボタンを使用すると作成時点では保存先のライブラリは選択されません。
↓3:フットプリントウィザードを使用した新しいフットプリント パッケージの種類とパラメータを入力することで簡単にフットプリントを作る機能です。
↓4:ライブラリに変更を保存 現在編集中のフットプリントを指定のライブラリに保存します。
↓5:フットプリントのプロパティー
フットプリントのプロパティーの変更を行います。
↓6:パッドのプロパティー
パッドのプロパティーの変更を行います。
フットプリント自体の編集は基板上のフットプリント編集と同様です。そのためフットプリントの作成と保存のプロセスを説明します。
8-2-1 フットプリントの作成
まずは、編集するライブラリの選択を右クリックし「新規フットプリント」(下図選択項目)をクリックして新規のフットプリントを作成モードに入ります。ただし、初期状態で導入されているライブラリはProgram Filesに位置していて、ライブラリに上書き保存ができないので新しいフットプリントの作成や編集はできません。(作成しようとするとエラーが出ます)

新規の画面に入った後は部品の外形線やパッドなどを配置していきます。
保存の際は上部ツールバーの「ライブラリに変更を保存」(図8-3↓4)をクリック(または保存ショートカットキー「ctrl + s」)で保存を行います。
8-2-2既存のライブラリ内のフットプリントの編集
ライブラリ内から編集したいライブラリの[+]をクリックしてフットプリント一覧を表示させ、編集したいフットプリントをダブルクリックまたは右クリック「フットプリントを編集」をクリックすると編集モードに入ります。保存の際は上部ツールバーの「ライブラリに変更を保存」(図8-3↓4)をクリック(または保存ショートカットキー「ctrl + s」)で保存を行います。

8-2-3ウィザードによるフットプリントの作成
上部ツールバーの「フットプリントウィザードを使用した新しいフットプリント」(図8-3↑3)をクリックして「フットプリントウィザード」を開きます。
作成したいフットプリントの種類を選び「OK」をクリックします。なお、作りたいフットプリントの種類が、この中に無い場合はウィザードで作成することはできません。
左側に各種パラメータが表示されるので、それぞれ入力します。画面右側で完成イメージが、左側下部に完成時のパラメータが表示されます。
最後に上部の「エディタへフットプリントをエクスポート」(図8-4の↑)をクリックして、フットプリントエディタに反映させます。
保存の際は下図のように保存先のライブラリの選択画面が表示されます。保存したいライブラリを選択して下部の「保存」をクリックすると保存が完了です。

8-2-4 新規ライブラリの追加・既存ライブラリの読み込み
新規ライブラリを作る場合は「ライブラリ」(図8-3□←1) 内の任意の場所で右クリックをして「新規ライブラリ」(図8-5←1)をクリックします。ライブラリの保存先を聞かれるので任意の場所(ライブラリを保存したい場所)に保存をします。すると、ライブラリテーブルを選択ウィンドウが表示されます。現在開いているプロジェクトのみで使用したい場合は「プロジェクト」、プロジェクトに関係なくいつでも使用したい場合は「グローバル」を選択して下部の「OK」をクリックします。
図8-5 ライブラリ追加
既存のライブラリを追加する場合は右クリックで「ライブラリを追加」(図8-5←2)をクリックして追加したいライブラリのフォルダを選びます。以後の操作は新規ライブラリの追加と同様です。
目次
1章KiCadの初期設定
http://blog.handen.net/archives/20804511.html
2章 回路図エディタの使い方
http://blog.handen.net/archives/20804885.html
3章 PCB Parts Libraryのセットアップ
http://blog.handen.net/archives/20805521.html
4章 シンボルエディターの使い方
http://blog.handen.net/archives/20807934.html
5章プリント基板エディタPcbnewの使い方 その1
http://blog.handen.net/archives/20834925.html
5章プリント基板エディタPcbnewの使い方 その2
http://blog.handen.net/archives/20898093.html
5章プリント基板エディタPcbnewの使い方 その3
http://blog.handen.net/archives/20913926.html
6章データの確認とDRC
http://blog.handen.net/archives/20914426.html
7章面付とデータ出力・発注
http://blog.handen.net/archives/21338761.html
8章フットプリントエディタの使い方
http://blog.handen.net/archives/21363432.html
7-1 面付
小さな基板を複数作る時など、複数の基板を1枚にまとめる場合は面付を行う必要があります。面付けを行うために、Pcbnewをプロジェクトを介さずに直接起動させます。(インストールディレクトリから「pcbnew.exe」を直接起動)
起動したら、面付後の基板の外形寸法の枠を、「外形線」レイヤーで引きます。
続いて、基板のデータを読み込みます。ファイルメニューの「基板を追加」(下図選択項目)から、面付を行う基板のデータ(*.kicad_pcb ファイル)を読み込みます。
基板データを読み込むと、カーソルに面付を行う基板がついてくるので、基板上の配置したい箇所に面付する基板を配置します。すべての基板の面付が完了するまで、この作業(データ読み込みと配置)を繰り返します。また、部品の移動の時と同様に回転(「R」キー)なども行えます。
また、一度配置した面付を行う基板を選択(基板上でカーソルをドラッグ)すると、移動することもできます。面付を行うと、図7-1のようになります。この際に、ラッツネストの白線が表示される時がありますが、無視してください。
7-2 ガーバデータ出力
メニューバーの「ファイル」「プロット」(または上部ツールバーの「プロット」(図7-2↓))をクリックして「製造ファイル出力」ウインドウを開きます。
基本的には画像のように設定します。注意しておく点としては、レイヤー(図赤□)で「F.Cu」「B.Cu」「B.SilkS」「F.SilkS」「B.Mask」「F.Mask」「Edge.Cuts」が選択されていること、「ガーバオプション」の「Protelの拡張子を利用」(図7-3←1)にチェックが入っていることを確認すればよいでしょう。また、ビア上のレジストを除去したい場合は「ビアのテンティングを禁止」(図7-3←2)にチェックを入れます。(除去すると熱などによる長期的なビアの損傷を防げるがビアの金属部が露出する)「出力ディレクトリ」は空欄の場合は製作中のデータがあるフォルダに出力ファイルが入ります。変更したい場合は適時変更してください。そして下部の「製造ファイル出力」をクリックして基板のデータ(パターンデータ)を出力します。図ではデータのあるフォルダに作った”gerba”フォルダに入ります。
続いて穴のデータを出力します。「製造ファイル出力」ウインドウの下部の「ドリルファイルの生成」をクリックして「ドリルファイルの生成」ウインドウを開きます。
基本的には画像のような設定にしておけば大丈夫です。確認事項としては多くの中華基板業者では穴の内側に銅箔メッキのあるスルーホール(PTH)とメッキのない機構穴(NPTH)のファイルは1つする必要があるので「PTHとNPTHを1つのファイルにマージ」(←1)にチェックを入れます。基板業者によっては別々に出力するところもあるのでそれに従うようにしてください。また、データファイルフォーマットは「ガーバ」(←2)、ドリル単位は「mm」(←3)(先ほどのパターンデータの単位と同じ)、ゼロの扱いは「小数点フォーマット」(これにしないとFusionPCBのガーバビュワーなどでバグる)にも注意してください。確認が出来たら「下部のドリルファイルを出力」をクリックしてドリルファイルを出力します。
最後に、各ウインドウの「閉じる」をクリックして終了させます。
これにて基板データの作成は終了ですがFusionPCBなどの業者に注文する際は一部ファイルの拡張子の変更とファイルのzip化が必要です。FusionPCBのサポートページ(http://support.seeedstudio.com/knowledgebase/articles/1176223-%E3%82%AC%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%92%E5%87%BA%E5%8A%9B%E3%81%99%E3%82%8B%E6%96%B9%E6%B3%95)にファイル送信時の拡張子が書かれています。
pcbname.GTL:表銅箔
pcbname.GTS:表ソルダマスク
pcbname.GTO:表シルク
pcbname.GBL:裏銅箔
pcbname.GBS:裏面ソルダマスク
pcbname.GBO:裏面シルク
pcbname.TXT:ドリル
出力したファイルはこのようになっており、基板の外形線(拡張子.gm1)とドリルファイル(拡張子.drl)以外はFusionPCBの指定する拡張子で出力されています。そのため、FusionPCBの指定する拡張子になっていない外形線とドリルファイルの拡張子を変更します。ドリルファイルは拡張子を「drl」から「txt」に、外形線は「gm1」から「gml」に変更します。(厳密には変更しなくても通るっぽいですが、公式ルールに合わせましょう)
6-1 3Dビューの使い方
3Dでの確認作業は、Pcbnewメニューバーの「表示」「3Dビュアー」をクリックして、3Dビュアーを起動させます。
3Dビュアーではこのように製作した基板を3Dで確認することが可能です。ここで基板上の部品同士の干渉やシルク表記などに問題がないかどうかの確認を行います。また「ズームイン」(図6-1↑1)で拡大、「ズームアウト」(↑2)で縮小、「ビューの再描画」(↑3)で3Dビューの再描画、「ページに合わせる」(↑4)で3Dビューの拡大・回転等のリセット、「X(Y,Z)軸回りに右(左)回転」(↑5)で各方向の回転、「左(右,上,下)へ移動←(→,↑,↓)」でビューの移動ができます。また、マウスのホイール回転で拡大縮小、左クリック+ドラッグでビューの回転、ホイールクリック+ドラッグでビューの移動ができます。
また、↑1の左側のアイコン「レイトレーシングを使って現在のビューをレンタリング」をすると描画が美しくなります。
3Dビューの一部部品で向きが異なることや、大きさが異なることがあります。また、使用部品により3Dビューが表示されない場合があります。基本的にここで表示されない部品の多くは3Dデータがない部品ですので表示させることが困難なことが多いですが、稀に他の3Dデータで代用できることがあります。それらの対処方法を紹介します。
4-2 3Dビューのエラー対策
一旦Pcbnewに戻り、3Dビューで問題のある部品を右クリックして「プロパティー」をクリックして「フットプリントのプロパティー」を開きます。
上部のタブ選択部から「3D設定」タブを開きます。 大きさに問題があった場合は下部の「スケール」(図6-2□1)に適当な倍率を入力して大きさを調整します。プレビュー画面を見ながら調整するのが良いでしょう。角度に問題がある場合は「回転」(図6-2□2)に値を入力して調整します。位置がずれる問題があった場合は「オフセット」(図6-2□3)にそれぞれ値を入力して位置を調整します。X,Y,Zはそれぞれ3Dビューの回転軸と同じ方向です。
3Dが表示されない場合でほかの3Dデータで代用できるときは、「+」(↓4)をクリックして代用できる3Dデータを開きます。3Dデータはあらかじめ3Dデータのビュアーなどでデータを確認しておいてください。また、最初から3Dシェイプが設定されていた場合(上部「3Dシェイプ名」になにかしら設定されている場合)は「ゴミ箱」(↓5)で古い設定を削除します。
3Dビューで問題がないことを確認したら次の作業へ進みます。問題があった場合は問題個所を修正します。また、3Dビュアーは基板の作成途中でも使用できるので適時使用すると良いでしょう。
4-3デザインルールチェック(DRC)
Pcbnew上部ツールバーの「デザインルールチェックを実行」(図5-2↓10)をクリックして、「DRC」ウインドウを開きます。下部の「DRCの実行」をクリックしてDRCを実行します。DRCが完了して下図のように何も表示されていなければ、DRC違反はありません。
ここで、「問題/マーカ」にエラーが表示されている場合は、その問題点を修正します。また「未接続」がある場合も未接続の配線を接続します。
5-11 固定穴の配置
まずは右側ツールバーの「フットプリントを追加」(図5-4←2)をクリックしてフットプリントの読み込みモードに入ります。固定穴を配置したい場所でクリックしてフットプリントのロード画面に進みます。
図5-4 右メニュー
図5-24 フットプリントロード
「コンポーネントを選択」画面の上部のフォーム(図5-24←)に「mount」と入力し検索すると固定穴が表示されるのでその中から必要なサイズの固定穴を選択します。全体の一覧から「MountigHole」ライブラリを開き選択することもできます。最後に「OK」をクリックして配置したい場所に固定穴を設置します。これを必要数繰り返します。なお、2回目以降は画面内「--最近使用された--」内に履歴が表示されるのでそのリストから選択すると楽です。
これにて回路の固定穴の配置が完了です。
また、同じ方法でロゴを追加することもできます。
3-12
リファレンスの最適化
最適化でやることはリファレンスの移動だけで、手順はフットプリントの移動とほぼ同様です。リファレンスにカーソルを置いた状態で「M」キーを押して移動させ、移動先でクリックして確定させると完了です。これをすべての部品に対して行います
5-13
シルク文字の追加
まずはレイヤーを変更します。

基板の表面に配置する場合は「F.SilkS」レイヤーを、裏面に配置する場合は「B.SilkS」を選択します。文字を配置する場合は右のツールバーの「銅体層または図形層にテキストを追加」(図5-4←8)をクリックしてテキスト配置モードに入ります。テキストを配置したい位置でクリックすると「テキストのプロパティー」が表示されます。
図5-25 テキストのプロパティー
上部の「テキスト」に基板に印刷したい文字を入力します。そして、下部の「幅」には1文字の幅、「高さ」には文字の高さを入力します。例えば「幅:2.0(mm) 高さ:2.0(mm)」と入力した場合は一文字2mm四方の文字が入力されます。「太さ」には文字の線の太さを入力します。この値は「幅、高さ」に応じて値を設定します。太さが太すぎた場合は文字がつぶれ、細すぎた場合は文字がかすれて読めなくなる恐れがあるので適切な値を入力する必要があります。高さが1.5mmの場合は0.3mm 高さが1.0mmの場合は0.2mm程度がよいでしょう。文字の入力と設定が完了したら「OK」をクリックして文字の入力を完了させます。
なお、文字はシルクだけでなく銅箔層にも配置が可能です。見た目など用途に応じて銅箔層とシルク層を使い分けてください。ただし、基板色によっては銅箔層の文字が見えなくなるので注意が必要です。(黒色では見えません)
5-14
シルク図形の追加
図形といっても描けるのは直線と曲線や円なので描けるものは限られます。
まずは文字の配置の時と同様にシルク層のレイヤーを選択します。続いて、配置する線の太さの設定を行います。上部のメニューバーより「基板セットアップ」(図5-2↓1)ウインドウを開きます。
図5-26 テキストと図形
「基板セットアップ」ウインドウの左側「テキストと図形」(図5-26選択項目)を開き、右側の「シルクレイヤー」(図5-26←1)に描きたい線の太さを入力して、「OK」をクリックします。線を描いている途中で、太さを変更したい場合この方法で太さの変更を行います。
次に「図形ライン(円、円弧)を追加」(図5-4←7)の中から描きたい線の種類を選択します。「図形ライン」は直線を、円は円周を、円弧は円弧、図形ポリゴンは任意角形の平面図形を描きます。
直線を描くときは描き始めたい位置でクリックすると線を引き始め、クリックで角を設定、ダブルクリックで線を確定させます。


円弧の場合も最初に中心点をクリックして中心点を決めた後、カーソルで半径と円弧の開始点を調整してクリックして円弧を確定させます。


5-15
パワー配線のレジスト除去
パワー回路で大電流が流れるパターンの場合、プリント基板の銅箔のみではパターンの抵抗により、パターン温度が上昇し最終的にパターンが焼き切れてしまう場合があります。その対策として、パターンにはんだやめっき線を盛ることで抵抗値を下げる場合があります。しかし、はんだを盛るためには、パターンの表面のレジストを剥離する必要があります。ここではそのレジストの剥離方法を紹介します。
まずはレイヤーを選択します。

次に、レジスト除去の線の幅を配線と同じ幅に設定します。設定場所は先ほどのシルクの線の幅の変更際に使った「基板セットアップ」「テキストと図形」の「その他レイヤー」(図5-26←2)です。
そして「図形ラインを追加」(図5-4←7)を使って、配線の上に線を引いていきます。この際線の位置を決めるのが難しい場合もありますが、穴の位置など位置を特定しやすいところから引き始めると、比較的引きやすいと思います。

5-16
外形線の引きなおし
手順は基本的にPcbnewの初回の時の仮の外形線の引くときと同じで、外形線のレイヤー「Edge.Cuts」を選択した状態で、図形線を引きます。

最終的な外形線である今回は、製作したパターンや部品の外形から数mm程度外側を四角で囲むようにします。ただし、角などは円弧ツールを使って丸めたり、パターン作成段階で考慮が必要ですが、全体を変わった形にしたりなどもできます。自分が作りたい形に合わせて外形線を描いてください。
5-17
ベタGNDの作成
ノイズなどを削減する目的で基板にベタGNDなどの塗りつぶしゾーンを配置する場合があります。最後にその手順を紹介します。まずは右側メニューの「塗りつぶしゾーンを追加」(図5-4←4)をクリックしてベタグランドを配置するモードに入ります。続いて配置したい塗りつぶしゾーンの角部でクリックし塗りつぶしゾーンの配置を始めます。配置を始める際は塗りつぶしゾーンの設定を決める「導体ゾーン」ウインドウが表示されます。
左側の「レイヤー」部(図5-27赤囲み)で塗りつぶしゾーンを配置する面を選択します。続いて中央部の「ネット」部(図5-27緑囲み)でベタ設定(塗りつぶしゾーン)にするネット(ベタGNDの場合はGND ベタVccの場合はVcc)を選択します。その他の設定は基本的にはデフォルトで大丈夫ですが念のため「パッド接続」(図5-27←)がサーマルリリーフになってることを確認しておきます。(なって無いとはんだ付け難易度が大幅に上がります)最後にOKをクリックすると塗りつぶしゾーンの外形線を描けるようになります。
以上で基板のデータは完成です。
5-4 フットプリントのロック
図3-12 フットプリントロック
フットプリントを右クリックし「ロック中」,
「ロック」または「ロック解除」(図3-12の□囲み)を実行すると、フットプリントのロックおよびアンロックが可能です。フットプリントをロックすると、移動などの時は本当に移動するかを聞かれるほか、ネットリスト読み込み時に削除の設定が入っていても、自動削除されなくなります。また、フットプリントを選択した状態で「L」キーを押すとロック、ロック解除の切り替えができます。
5-5 フットプリントの配置
フットプリントの配置で使う機能は基本的に「移動」と「回転」と「裏返し」程度で使う機能自体は非常に少ないです。しかし、この配置が基板のすべてを決めるといってもいいくらい重要な項目で、出来上がった基板の見栄えやはんだ付けの難易度、配線の難易度などが大きく変わります。このことを考えたうえで適切な配置をする必要があります。
「移動」と「回転」は回路図エディタと同じ方法で実行できますが、ここでも再度紹介します。
移動は、カーソルを移動したい部品の上に置いたうえでキーボードの「M」キーを押す(または右クリック「移動」(図5-13←1))と移動が始まります。フットプリントを移動したい移動先に移動させて、その位置でクリックしてすることで移動を完了できます。(キーボードは半角モードにしていないと反応しないので注意してください)
図5-13 フットプリント配置
回転はカーソルを回転したい部品の上に置いたうえでキーボードの「R」キーを押す(または右クリック「左回転」(図5-13←2)を実行する)で左向きに90度回転します。(右クリック「右回転」を選んだ場合は右に90度回転)また、移動中に「R」キーを押して回転させることも可能です。
裏返しは両面基板において、部品を基板の表面に実装するか、裏面に実装するかを選ぶ機能です。初期の状態では表面に部品が配置されていますが、「裏返し」をすることで裏面に部品を配置することができます。方法は、カーソルを裏返したい部品の上に置いたうえでキーボードの「F」キーを押す(右クリック「裏返す」(図5-13←3))(移動中に「F」キーを押しても実行可)と部品が裏返されて、部品の枠線などの色が裏面の色に変わります。

これらの操作を繰り返して、基板上に部品を配置していきます。
5-6 配線
配線を始めるにあたって、まずは「配線」(図5-4←3)をクリックして配線をするモードに入ります。

図5-4 右メニュー
配線を開始したいパッドをクリックすると配線が開始され、接続先のパッドが図5-14のようにハイライト表示されます。配線をハイライト表示された接続先につなぎクリックすると配線の接続が完了します。配線幅はデザインルールで設定したとおりです。また、デザインルール上配線を通せない箇所がある場合は図5-15のように迂回ルートを自動で見つけ出されます。便利に見えますがお節介な機能なので配線をいったん中止し通せる場所を再検討すると良いかもしれません。なお、迂回ルートが見つからないときは通せなくなった地点で配線が止まります。
配線を途中で中止したい場合はキーボードの「Esc」キーを押すと作業の中止ができます。(配線以外にも移動なども同様に中止できます)
5-7 配線の機能
配線やフットプリントの配置の基準となる、グリッドの間隔は上部のグリッド(図5-16)部から選択できます。DIP系だとピッチの半分の1.27mm程度が扱いやすいですが面実装などをする場合はもっと細かくすると自由度が上がります。
配線の経路を指定したい場合は、経由したい地点をクリックすると、配線がクリックした個所を通るように配置されます。
配線の途中で、配線を基板の表から裏、裏から表に移動させたい場合はビアを配置します。ビアの配置は配線を行っている途中で、ビアを置きたい場所でキーボードの「V」キーを押します。(ビアを配置したい場所で右クリック、「貫通ビアを配置」でも可) するとビアが配置され配線のレイヤーも自動的に表から裏、裏から表に移動し、逆の面で配線を続けることができます。
配線関連はKiCad4.0.7で紹介したレガシーツールとは挙動が大きく変わっていますので注意してください。

5-8 配線の削除
配線の経路指定やビアの配置を繰り返して配線作業を進めていきますが、途中で既存の配線が邪魔で新たな配線を引けなくなる場合もあります。その場合は既存の配線を一旦削除したうえで、新しい配線と既存の配線を引き直します。配線の削除はやり方により2種類に分かれます。それは配線上にカーソルを置き「Delete」キーを押すことで実行できる配線の削除とセグメントを選択して削除を行うセグメントの削除です。それぞれ以下のような機能を持ちます。
配線の削除:パッドとパッドの間の配線全体を削除します。ただし、3つ以上のパッドをつないでいる配線の場合は削除操作をしていないパッド間の配線は残ります。
セグメントの削除:配線の角やビアの間の一直線区間(セグメント)のみを削除します。配線全体を削除する必要がなく一部分のみ削除したい場合に使用します。
状況に応じてこの削除方法を使い分けます。Deleteキーでの削除の場合も配線をクリックしてセグメントが選択された状態になるとセグメントの削除になります。もちろん、右クリックのメニューでの削除もセグメントの削除です。また、右ツールバーの削除(図5-4←8)で配線の削除を実行する場合は「セグメントの削除」になります。
図5-19 削除
また、配線を切断したい所で、右クリックの「配線を切断」をするとセグメントの分割が可能です。
5-9 配線の移動
既存の配線の移動や、配線済みのフットプリントを移動して、引けない配線を引けるようにする場合もあります。
配線を移動させる場合は、配線にカーソルを置いた状態で「M」キー(右クリック「ノードを移動」も可)を押します。角や表裏で配線が重なっている場合「明示的な選択」メニューが表示され、移動する配線のセグメントを聞かれるので移動したい方を選択します。すると選択したセグメメントの移動ができるので移動先でクリックして位置を確定させます。
図5-20 配線の移動
配線のドラッグは、配線がつながったまま選択地点を移動させる機能です。移動したいセグメント上にカーソルを置いた状態で「G」or「D」キーを押すと(または右クリックで「ドラッグ(自由角度)」or「ドラッグ(45度モード)」も可)選択地点を配線がつながったまま移動できます。(45度モード「Dキー」は配線角度が45度固定でドラッグできます)
5-10配線後のフットプリントの移動
フットプリントの移動は回路図エディタの時と異なり配線がつながったままのドラッグはできません。(レガシーツールセットでは可能でしたがモダンツールセットで廃止になりました) そのため、フットプリントのみが動き、接続済みの配線は動かず接続が解除される「移動」のみ使えます。
使用方法は「移動」はフットプリントの配置の際の「移動」と同様に移動したいフットプリントに置いた状態で「M」キーを押すと(または、右クリック「移動」)フットプリントを移動できる状態になります。フットプリントを目的の場所に移動させて、クリックすることで移動を確定させます。
これらの操作を繰り返して、すべての配線を接続していきます。
全ての配線の接続が完了すると下部に表示されている、「未配線」の数が0になります。
図3-23 残配線0
この表示を確認出来たら配線作業は完了です。
今回からは基板のアートワークを行うPcbnewの使い方の紹介です。
起動するとこのような黒い画面が表示されます。Pcbnewはメニューが非常に多いのでツールバーを3つに分けて機能を紹介します。
なお、本章では「モダンツールセット」を使用して解説を行います。(設定は上部メニュー「設定」→「モダンツールセット(アクセラレータA)」を選択します。)
まずは上部のメニューから
↓1:基板セットアップ プリント基板のレイヤー設定やデザインルールの設定を行う項目です。配線幅やビアの穴径などはここで設定します。
↓2:ページ設定 プリント基板エディタの全体のサイズを設定します。プリント基板でA4を超えることはまずないと思うので、基本的にはそのままで大丈夫です。
↓3:プロット プリント基板製造会社に送るデータを生成する機能です。
↓4:画面の再描画 フットプリントのデータを変えたときなどに表示をすぐに反映させる機能です。基本的には自動で反映されるので使うことはないと思います。
↓5:基板またはページに合わせてズーム 拡大しすぎたときや縮小しすぎて現在の場所がわからなくなった時に拡大率を初期の状態に戻す機能です。
↓6:フットプリントエディターを開く フットプリントを編集する画面を開きます。
↓7:フットプリントビュアーを開く 登録されているすべてのフットプリントを表示させる画面を開きます。
↓8:ネットリストをロード 回路図エディタで出力したネットリストを読み込む機能です。
↓9:回路図から基板を更新 ネットリストを介さずに回路図からフットプリントや接続状態等の回路の情報を読み込む機能です。
↓10:デザインルールチェックを実行 設計した基板がデザインルールに反していないかを確認する機能です。
↓11:レイヤー選択 基板の表裏の配線や基板印刷などのレイヤーを切り替える機能です。
↓12:Eeschemaで回路図を開く 回路図を編集したいときなどにEeschemaを開きます。
↓13:Pyhonスクリプトコンソールの表示/非表示 スクリプトを実行するためのコンソールの表示非表示を切り替える機能です。
次に左側のメニューです。ここは主に表示関連のメニューが多いです。
図5-3 左メニュー
←1:デザインルールチェックを無効(有効)化 デザインルールに違反した配線を引くことできなくするリアルタイムDRCの機能の有効無効を切り替えるボタンです。理由がない限り使うことはありません。通常はこのDRCを有効状態(画像のように選択されていない状態)にします。また、この機能はレガシーツールセットでのみ有効です。KiCad5では通常はモダンツールセットとなるためこの機能は使えません。
←2:グリッドを非表示(表示) 画面のグリッドの表示非表示を切り替える機能です。グリッドがない状態は作業しにくいので通常は有効にしておきます。
←3:mm(inch)単位
表示の単位を切り替える機能です。日本では基本的にmm単位で使われるのでmm単位を選択しておきます。
←4:ボードのラッツネストを非表示(表示) 配線が未接続のコンポーネントの接続先同士を結ぶ線(ラッツネスト)の表示非表示を切り替える機能です。
←5:ゾーンの塗りつぶしを表示(非表示、アウトラインで表示) ゾーン(ベタグランドなど基板のパターンを面で作る箇所)の表示の切り替えです。好みや必要に応じて使い分けます。
←6:アウトライン(塗りつぶし)モードでパッドを表示
パッドの表示をアウトラインモード(パッドのふちのみ表示)と塗りつぶしモードで切り替える機能です。基本的に塗りつぶしモードの方が見やすいと思います。
←7:アウトライン(塗りつぶし)モードでビアを表示 ビアの表示をアウトラインモード(パッドのふちのみ表示)と塗りつぶしモードで切り替える機能です。
←8:アウトライン(塗りつぶし)モードで配線を表示 配線の表示をアウトラインモード(パッドのふちのみ表示)と塗りつぶしモードで切り替える機能です。塗りつぶしモードの方が見やすいです。
←9:ハイコントラスト表示モード 画面の表示の色合いを変える機能です。基本的に使わないと思います。
続いて左側のメニューです。ここは基板の中身の編集系のメニューが主です。
図5-4 右メニュー
←1:ネットをハイライト 任意のパッド・配線を選択すると配線で接続されるべきパッドがすべてハイライト(強調)表示される機能です。
←2:フットプリントを追加 回路図に無い部品を追加する機能です。主に固定用の穴やロゴなどを追加するときに使います。
←3:配線を追加 部品のパッド同士を接続する配線を行う機能です。
←4:ビアを追加 基板中にビアを追加する機能です。ベタグランドの上層下層間の接続などに使います。
←5:塗りつぶしゾーンを追加 ベタグランドなど基板全体または一定の範囲を銅箔で覆いたいときに使います。
←6:キープアウトエリアを追加 部品や配線を配置することを禁止するエリアを設定する機能です。
←7:図形ライン(円、円弧、ポリゴン)を追加 基板上に図形を配置するときや基板の外形線の描くときに使います。
←8:銅体層または図形層にテキストを追加 基板上に文字を配置したいときに使用します。
←9:アイテムを削除 フットプリントや配線を削除するときに使用します。
←10:距離を計測 基板内の任意の場所の距離を計測する機能です。
5-1基板の外形線の作成
最初に、レイヤーを「Edge.Cuts」に変更します。
図5-5 レイヤー
画面右側の図のようなレイヤー表示部の「Edge.Cuts」(図5-5←)の右側の青い▶が表示された箇所(図の↑と←の交点部)をクリックするとレイヤーが切り替わります。(ほかのレイヤーに切り替える場合も同様に各レイヤー名の左の空白(↑の列)をクリックします)(上部のメニューからの切り替え(図5-2の↓8)も可能)
続いて外形線を引きます。「図形ラインを追加」(図5-4←6の一番上)をクリックして直線の図形を描くモードに切り替えます。カーソルが鉛筆に変わったことを確認して、外形線を引き始めたい場所でクリックして、外形線を引き始めます。
カーソル座標のdx,dyを確認しながら、外形線の角にしたい場所でクリックします。すると外形線の一辺が作成されます。dx,dyは線を引き始めた箇所からの距離なので斜めの線でなければ線の長さと同じです。四角形のほかの辺も同様に描き、4辺すべてが描き終わる箇所(外形線の開始地点と同じ場所)でダブルクリックをして、外形線を確定させます。(ダブルクリックすると引いた線が確定される仕様なので、外形線の途中でダブルクリックをして一旦確定させて、再度終端地点から線を引くなど複数回に分けて描くことも可能)
図3-7のように黄色の線の四角形ができていれば、外形線は描けています。
5-2 ネットリストの読み込み
上部のツールバーの「ネットリストをロード」(図5-2の↓8)をクリックして「ネットリスト」を開きます。
初めにネットリストのファイルをフォルダアイコン(図5-8の→1)から開きます。初回のネットリスト読み込みの際は特に設定の変更をせずに、下部「基板を更新」(↓2)をクリックしてネットリストの読み込みを始めます。ネットリストの読み込みをする際に、取り消しができないというメッセージが表示さるので「はい」をクリックします。回路図エディタでフットプリントを正しく設定していた場合は特にエラーがなく終了します。
回路図エディタで正しくフットプリントの設定ができていない場合、「メッセージ」に下図のようなエラーが表示されます。この場合、Eeschemaでエラーが表示されたコンポーネントのフットプリントの設定を修正して、再度ネットリストを出力し、Pcbnewで読み込みをします。
また、基板作成中の仕様変更などでネットリストを再度読み込む場合は、状況に応じてそれぞれの設定を変更する必要があります。
フットプリントを更新:回路図エディタで部品のフットプリントの変更を行った場合はチェックを入れる必要があります。
複数のネットを短絡している配線を削除:配線の接続先が変わった際などに繋がってはいけない箇所がつながっている場合にその配線を削除する場合はチェックを入れます。
余分なフットプリントを削除:仕様変更により回路図から削除されるなどネットリストから消えた部品を削除する場合はチェックを入れます。ただし、固定穴などPcbnew上で追加した部品も削除されるので注意する必要があります。ただし、後述の「フットプリントのロック」を行った場合は削除されません。
孤立したパッドのネットを削除:配線が接続されず孤立してしまったパッドのネットを削除する場合はチェックを入れます。
ネットリストの読み込みが完了すると、下図のように読み込まれたフットプリントが表示されます。KiCad4では重なって出てきましたが5では改善されて重ならなくなりました。
なお、図5-2↓9の「回路図から基板を更新」でもネットリストの読み込みが可能です。こちらを使う場合は回路図エディタでネットリストの出力が不要になります。
5-3 デザインルールの設定
デザインルールは、配線の幅や間隔、ビアの大きさなど、基板を加工する際に守らなければならないルールです。
図5-2↓1「基板セットアップ」を開きます。図5-10←の「デザインルール」からデザインルールの設定画面を開きます。
デザインルールエディターの上部の「ネットクラス」の中に初期状態ではクリアランスが0.2mm 配線幅が0.25mm ビア径が0.8mm ビアドリルが0.4mmに設定されています。このうちクリアランスには配線同士の間隔(隙間)とビアや穴同士や配線との間隔をすべて一括にくくったものになっています。「マイクロビア径」と「マイクロビアドリル」については4層とかの基板にならない限り使うことはないので2層基板では設定の必要はありません。
業者に注文する場合は、業者で定められた、デザインルールを入力します。ただし、デザインルールギリギリでは製造に失敗する可能性があるので基本的には推奨値以上である程度余裕を持った値を入力しておきます。Elecrowに注文する場合は、「クリアランス」は0.203以上、「配線幅」は0.203以上の自分の希望する配線幅、「ビア径」と「ビアドリル」はデフォルト(0.6mm 0.4mm)のままにしておきます。
また、電源ラインなどで配線幅を変えたい場合は配線ごとにデザインルールを設定することが可能です。
デザインルールエディターの中ほどの「+」(図3-11↓1)をクリックしてデザインルールを追加します。するとネットクラスの一覧に新規のデザインルールが表示されるのでその中の←2部に追加するデザインルールの名前(正式にはネットクラス名と言います)を入力します。
次に新たなデザインルールを設定する配線を選びます。画面右下の「ネット」の中から変更したい配線を選び右側(→3)のドロップダウンリストから新たなデザインルール(変更先)を選択します。
しかし、VccやGND以外で配線を太くする場合、配線のネット名を調べる必要があり大変です。そのため、配線幅を変更したくなった時にその都度「基板セットアップ」を開き、配線幅を変更するのもありかもしれません
今回はピン設定が「不特定」になっていて、ERCを通した際にエラーとなる現象を改善する方法と新しいシンボルの作り方を紹介します。
図4-1 起動画面
表示されているアイコンで今回使いそうなものを軽く紹介します。
↑1:新しいシンボルの作成 ライブラリに存在しない部品を新たに作る時に選択します。←4の一覧から操作した方が使いやすいと思うのでこの項目はあまり使わないと思います。
↑2:すべての変更を保存 変更を保存するときに使います。
↑3:重複ピンとグリッドから外れたピンのテスト 名前の通り同じ番号のピンが重複していないか、またグリッドから外れたピンがないかをチェックする機能です。
←4:ライブラリ・シンボルの選択 複数あるライブラリから自分が編集したいライブラリを選ぶ機能です。
→5:シンボルにピンを追加 作成中のシンボルに新たなピンを追加する機能です。
→6:シンボルのボディーにテキストピンを追加 作成中のシンボルにテキストを追加する機能です。
→7:コンポーネントのボディーに○○を追加 コンポーネントの枠(形)などの図形を描く機能です。
4.1シンボルのピンの設定変更
まずはピン情報を編集するライブラリを選ぶために、図4-1の←4で示した範囲内から編集するライブラリ(「PCB Parts Library」の場合は「SamacSys_Parts」)クリックして、シンボルの選択画面に入ります。

編集したいシンボルをダブルクリックするとメイン画面にシンボルが表示されます。
この中からピン情報を編集したいピンにマウスカーソルを合わせて「E」キーを押すか、右クリック、「編集」と進み、ピンのプロパティーを開きます。
図4-2の←で示した「エレクトリックタイプ」をそれぞれの端子に応じた、設定に変更します。マイコンの場合IO端子は基本的に「双方向」、電源端子は「電源入力」にします。特にピンの機能を特定できない場合は「パッシブ」にしたら良いしょう。そして「OK」をクリックして設定を完了させます。この設定をすべての端子で行います。(一部初期で設定されている端子もあります)
設定ができたら図4-1の↑2の「すべての変更を保存」をクリックしてライブラリに変更した情報を保存します。
もし、ピン設定を変更したコンポーネントを別の名前で保存したい場合は、図4-1の←4内の編集中のシンボルを右クリックして「名前を付けてコピーを保存」(下図←)をクリックして別名保存の画面に進みます。


そして、「Ctrl+s」または図4-1の↑2の「すべての変更を保存」でライブラリを上書き保存します。
これで、ピン情報の変更作業は終わりです。
4.2 新規シンボルの作り方
まずは、図4-1の←4で示した範囲内新たなシンボルを追加したいライブラリを選び右クリックします。
新規シンボル(上図の色付き項目)をクリックし、新規シンボルの作成画面(シンボルプロパティー)を開きます。新規ライブラリにする場合は保存先を聞かれるので保存したい場所に設定してから同様の作業を行います。
コンポーネント名(上図←1)と回路図やプリント基板に印刷されるリファレンス名(←2)を設定して「OK」をクリックします。
すると、グリッドのみの画面が表示されるので図4-1の→7の「シンボルのボディーに〇〇を追加」のメニューを使いコンポーネントの外形を描きます。また、描いた外形線上にカーソルを置き「E」キーを押すか、右クリック「〇〇のオプションを編集」(下図色付き項目)をクリックして〇〇図形のプロパティーに入ると塗りつぶしの設定ができます。初期設定では「全面色で塗りつぶし」を選択すると外形線の色、「背景色で塗りつぶし」を選択すると黄色で塗りつぶすことができます。必要に応じて使ってください。(設定メニューの「色の設定」で色を変えることもできます)
外形が描けたら、図4-1の→5「コンポーネントにピンを追加」をクリックして、ピンを追加するメニューを開きます。
ピン名にはピンの名前、ピン番号にはピン音番号(数字)、角度はコンポーネントの左に出るピンは「右」、右に出るピンは「左」、上に出るピンは「下に」下に出るピンは「上に」を選びます。エレクトリックタイプは先ほどの設定変更時と同じ要領で設定します。そして「OK」をクリックすると、カーソルの先端にピンがくっついた状態になるので、ピンを設置したい場所でクリックして、ピンを固定します。〇がついている方がピンの先になるということには注意してください。この作業をすべてのピンが設置できるまで繰り返します。
すべてのピンが設置できたら、図4-1の↑3「重複ピンとグリッドから外れたピンのテスト」を実行し、エラーが出ないことを確認します。
最後に図4-1の↑2の「すべての変更を保存」をクリックしてライブラリにコンポーネントを保存します。
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