作品制作が進むたびに随時更新をしていきます。
概要
今までの楽器と同じくMIDIを使って何かしらのアクチュエータを演奏します。
今回はMIDIを変換してPLCで信号を受け、PLCのPWM出力機能でHDDを演奏、デジタル出力で電磁接触器で打楽器を演奏します。
構成
MIDIを自作の基板に乗せたSTM32マイコンでPLCで受信可能な信号に変換します。
マイコンで変換した信号をレベル変換器を使いRS232Cの信号としてPLCに流し込みます。
シリアル機能付きのPLCでは4chしかPWMを出せないので、さらにPLCリンクで別のPLCで16ch分のPWMを生成する構造になります。
追記
新たにKV-7500用のシリアルユニットを買ったのでKV-7500でHanDenインターフェース(自称)を直接入れれる構造にしました。

おひさしぶりです。
HanDenです。全然ブログを更新していませんでしたが、久しぶりに音楽系の新作を作ったので記事を投稿します。
HDDを演奏する楽器自体はn番煎じになってしまうので、いつも通り技術の無駄遣いな基板を作ってみました。
まずは基板の諸元から
名称 :HDD演奏基板
機能 :基板1枚で4HDD(4音)同時駆動
HDD音量調整機能
MIDI直接受信可能(マスター機能) MIDI-Through対応
ID指定のUARTによるスレーブ機能(IDはDIPスイッチで設定)
同一基板を複数使用して最大64音まで再生可能
MIDI対応機能
ノートON ノートOFF(音量反映あり) コントロールチェンジ ピッチベンド テンポ
NeoPixel(WS2812B)点灯回路
出力回路構成 :4回路フルブリッジ
出力最大電流 :1系統1.5A(ポリスイッチで保護)
入力電圧 :12~30V
PWM方式 :音量(電圧調整)兼ハイサイドブートストラップ駆動用 32kHz(OFF時はLOW(端子間ショート))
音階用 音階周波数(OFF時はHi-Z)
すべてマイコンのPWM生成機能によるハードウェア生成
入出力 :MIDI-IN ×1
MIDI-Through ×1
UART-Master(XA4P 通称HanDenインターフェース) ×1
UART-Slave(XA4P 3.3V/5.5V切り替え対応 数珠繋ぎ対応) ×1ペア
UART-Master/Slave(XA4P 数珠繋ぎ対応) ×1ペア
NeoPixel端子(WS2812B用 XH3P 出力 5VのSPI-MOSI) ×2
駆動電源DCジャック ×1
駆動電源数珠繋ぎ用端子(XA2P) ×1ペア
制御電源5V入力 (XH2P) ×1
HDD出力(XH3P中央ピン抜き)
ST-Link用デバッグ端子 ×1
主要部品
制御マイコン :STM32G070RBT
MOSFET :TPCA8024
ゲートドライバ:NCP5104
絶縁フォトカプラ:TLP2361(高速信号用フォトカプラ)
レベル変換 :74HCT08
続いて回路図です。

高解像度の回路図:
HDD演奏基板回路図 pic.twitter.com/gxlj7mj4oW
— HanDen(群) (@HanDen_Motor) November 3, 2023
フォトカプラ以降の駆動側の回路構成は基本的には過去作のBLDC演奏基板とほぼ同一の設計です。ただしBLDC基板と異なり音階周波数でブートストラップ回路を駆動させない設計にしているため、ブートストラップコンデンサは容量は減らしています。※MOSFETのゲート部分にダイオードが入っているのはMOSFETのON電圧の関係でMOSFETの立下りが遅くなるのを防ぐためです。
制御側のマイコン回路は音楽系基板としては初めてSTM32を採用しました。(前回の音系作品のBLDCはAVRマイコンAtmega328P)
PWM出力が音階用4系統(周波数可変のためそれぞれ別のtimer) 音量調整用8系統(timerは2系統)以上使えるマイコンとしてSTM3232G070RBT(QFP64ピン)を選定しています。
音量調整用をゲートドライバ端子のIN、音階用をSDに入れてすべてハード的に駆動できるようにしています。(前作ではブートストラップ駆動用(今作での音量調整用に相当)はタイマー割り込みを使った半ソフト生成で処理が重くマイコン性能の限界との闘いだったため、大きく改善しました。)
音量調整も前作まではMIDIからの信号に加えてソフト内部の設定で行っていたものを半固定抵抗によりソフトの書き換え無く調整できるようにしているほか、マイコンのピン数に余裕があることからチャンネル設定もDIPスイッチで行っています。
このように贅沢にマイコンのピンを使えるのも性能あたりの価格が非常に安いSTM32の魅力であります。
アートワーク


回路図のすべての部品291点を100mm四方の両面基板に押し込みます。中国の基板業者は100mm四方を超えると一気に料金が上がるため相当なる密度に入れ込みました。(これぞ技術の無駄遣いです)
パワー回路部分は概ねパターン化していますが、この部分はIC化すればかなり小さくなります。しかし、ここはロマンでディスクリート部品を使っています。
HDDが演奏できる仕組み

端的に言うとスピーカーに違い原理で音が鳴ります。
ヘッドのコイルに音階の周波数に合わせた周波数の矩形をを入れることで、コイルと磁石の間で振動が起きます。その振動がHDDの筐体・木箱に伝わることで楽器となります。
音源はヘッドの部分でありディスクの部分はあくまで飾りです。
1HDDで1つの音が鳴り、複数のHDDを組み合わせることで和音が鳴る仕組みです。
多くのHDD楽器は1HDDでMOSFET1つすなわち1方向にのみ電流が流れるON/OFF制御となるため、ヘッドは大きく動きませんが、今回の楽器はフルブリッジで電流の向きを切り替えできるため大きくヘッドが動きます。このフルブリッジ採用が特徴の1つであります。
Makerとして基板を作り始めてもう4年になりますが、ちょっとずつ小さな部品が乗ったを作るようになってきました。最初はすべてDIP/スルーホール部品の基板から始まり、その中での高密度化→受動部品の表面実装化等(2012サイズ)→マイコンの面実装化と1608サイズ使用開始と続けてコネクタ以外の多くの部品の面実装にしてかつ細かい部品を使うようになってきました。そして、今回の最新作の曲がる電光掲示板ver2の基板では100ピンのSTM32の手はんだでの実装を行いました。
ここで、問題となってくるのが基板の品質です。高密度に配線行うと銅箔面のゴミなどでのショートのリスクや配線の断線、またQFP等のピッチの狭いピンでのレジスト抜けなどが致命傷となる可能性があります。実際筆者も様々な中国の基板業者に依頼する中でこのようなパターン近傍でのゴミやレジスト抜けなどを見てきました。(ゴミは低密度の時であったため動作には影響なく、パターン切れも無かったのは幸いですが)
複数の業者で基板製造を行ってきた中で自分の中でも最も品質が安定していると感じているのがSeeedさんのFusionPCBです。筆者も過去7回ほど注文してきていますが、上記のようなゴミやレジスト抜けなどの経験もなくシルクを含めた基板の外観も安定しています。今回はFusionPCBで製造した最新作の基板の紹介をします。
シルクについても目立つ擦れなどが無くきれいにできているほかビア上のレジストもKiCadの設定どおりきっちりと抜かれています。ビア上のレジストは抜いたほうが熱破損の恐れが少なく長期間の使用には向くようです。(結構な確率で設定忘れるのですが…)
きっちりとピン間までレジストが入っているため安心してはんだづけができます。このくらいのピッチになると全体にはんだを載せてからこて先で余剰なはんだをとっていく形でのはんだ付けになるためレジストが入っていないと大変です。パッドに元からついているはんだはちょっとムラがあるように見えますが特に問題はないです。
特に特徴ってものはありませんが、将来計画中のMIDIに合わせた表示やMIDI音声出力機能、SDカードのソケットも搭載しています。100mm四方の基板ですが結構な量の部品を詰め込んだため配線は結構複雑なことになっています。
回路図だとA21枚程度なのでそこまで複雑ではありませんがSTM32のピン数故にマイコン周辺の配線を通すのには苦労しました。
鉛入りはんだを使用してはいますが無事はんだ付けができました。
続いて発注関連についても紹介します。
KiCadの場合はProtelの拡張子を使用の設定にしたうえでガーバデータとドリルファイルを出力します。
参考までに出力画面も出しておきます。
drlファイルはtxtに,gm1はgmlに拡張子を変えます。(そのままでも行けそうですが念のため)そしてそれらをzipファイルに出力します。詳細はFusionPCBのマニュアルを参考にするのが確実です。デザインルール等も公式に情報があるのでチェックするようにしましょう。ただし、デザインルールぎりぎりを攻めすぎると断線などのリスクはあり得るので多少の余裕は見ておいた方が良いでしょうか。
発注データが作成できれば注文ページ(https://www.fusionpcb.jp/fusion_pcb.html)からガーバデータを追加して基板サイズや枚数、レジスト職、基板の厚さなどを設定します。100mm*100mm以下10枚以下で艶消し黒以外は4.9ドルです。大きくなったりすると値段が高くなります。ファイルをアップロードした時点でビュワーで出来上がり予想も見れます。(ここはFusionPCBの強み)
設定が出来たらカートに入れて発注手続きに進みます。
配送業者は昔はシンガポールポストとかも選べたのですが今は少しお高めのJapanDirectLineが最安ですが追跡がほとんどできない(日本に入ってからの佐川のみ)のでちょっと不安です。少し高くなりますがOCSは速いうえに追跡もできます。(SGPostがあった時代は送料と基板5枚で7.9ドルという鬼コスパがあったのですが無くなってしまってちょっと残念)
最後の支払いは安心安全なPayPalが良いと思います。
PayPalでの支払いを完了させれば無事発注完了です。だいたい1週間(HPには3~4日って書いてますがその日数で出荷されたことはぼありません)で発送されて、その後1週間の配送で2週間ちょっとぐらいで届きます。納期に関しては他社の方が早いってのが本音ですが安さと品質を考えると良いほうかなと思います。
ちなみに、FusionPCBの場合基板に加えて実装までのPCBAサービスもあるようです。自分の場合は手持ち部品を使って作品を作ることが多いので使いづらいですが、Makerとして頒布等する場合は新規部品を使うのが基本でしょうしはんだ付けの手間等を考えると結構使えそうなサービスかなと思います。
前回のパルスモードの記事の続きです。
BLDCに流す波形が決まったので次は実際にモノを作っていきます。
基板1枚でBLDC2台を駆動しこれを3枚使用して6台のBLDCを駆動する構成にしました。今回は基板1枚にATmega328Pを1つ載せマイコン1台で2つのモータを制御する構成にしましたが、パルスモードの検討の結果これがかなりの痛手になってしまいました。(詳細は最後に書きます)
回路の信号の流れとしてはマイコンの出力→絶縁用の信号用フォトカプラ(TLP2361)→ゲートドライバ(NCP5104)→MOSFET(TPCA8024)となっています。似た構造のモータドライバでは絶縁用にもゲート駆動用フォトカプラを使う例も見られますが、信号用フォトカプラはこれらより安価で周波数帯域が広いのが特徴です。
ゲートドライバに関してはRSで安さと性能を比較検討してNCP5104にしました。50個購入で1つあたり50円、出力電流Out250mA Sink500mA動作電圧範囲9~20Vと個人レベルではコスパがいいほうだと思います。なお、MOSFETはヤフオクの安いやつです。
KiCadなので3DViwerで確認をしてからFusionPCBに発注して基板を組み立てます。
これを3枚作ればBLDCの基板は完成です。
STM32マイコンのDMA機能を使って確実に制御信号を受け取れるようにしました。
MIDIの受信のプログラムに関しては過去の記事に書いています。
基板が完成したので次は本体を作っていきます。
続いてソフトウェアを作っていきます。
シリアルでの受信と回転速度の設定部以外は基本的にコンペアマッチ割り込みで処理を行っています。タイマー0,2の8bitタイマーを回転界磁生成用,
タイマー1の16bitタイマーをPWM生成用に使ってます。
PWMを高周波にしたことでこのPWM生成の割り込み(コンペアA,B割り込みとオーバーフロー割り込みでPWMを生成)の回数が非常に多くなり処理性能の限界が結構来ました。実験的にはPWM周波数はマイコンクロックの1/1024が限度でした。そのため、実際にBLDCを回したい場合はPWMをハードウェアで生成できるようにモータ1台につき1つのマイコンを使うことを強く勧めます。
余計なコードも混じってますが、実際に使用したコードを公開します。
https://github.com/HanDenMotor/BLDCMusic-ATmega328P
(PWM周波数の確保を目的にATmega328Pを24MHzでオーバークロックしてるので注意)
そして完成。
動画がこちら
https://www.nicovideo.jp/watch/sm34805846
以上簡単ですが、作品の製作日記でした。
使用する部品によってはフットプリントを編集しなければならない場合があります。今回はその編集方法を紹介します。
フットプリントの修正操作は基本的にプリント基板エディタのフットプリント版のようなものですが、配線が無いなど異なる箇所もあります。
8-1基板上に配置したフットプリントの編集
プリント基板エディタ上で編集したいフットプリントを右クリックして「フットプリントエディタで開く」(下図選択項目)をクリックしてフットプリントエディタを起動します。
まずは、基板上のフットプリントを編集する際に使う機能を紹介します。
↑1: 基板に変更を保存 現在編集しているフットプリントの変更点を基板上に反映させる機能です。
→2:パッドを追加 コンポーネントの端子や固定穴などをあけるパッドを追加する機能です
→3:図形ライン(円,円弧,図形ポリゴン,テキスト)を追加 シルク上に図形や文字などを追加する機能です
8-1-1パッド・シルク・文字・図形の移動
プリント基板でのフットプリントの移動と同様に、移動したいものにカーソルを当てて「M」キーを押し、移動先でクリックします。移動の位置はグリッドの位置を参考にするほか、画面右下の座標表示や、次に紹介するパッド設定で座標を入力して設定します。
グリッド幅は上部の「グリッド:〇〇mm」部(下図)で調整します。基本的に1.27mmか2.54mm程度にするとよいでしょう。

8-1-2パッドの設定の変更
穴の大きさや種類、穴の周囲のパターンの大きさ(以後パッドサイズ)やパッドの位置などの変更も可能です。
編集したいパッド上にカーソルを置いたうえで「E」キーまたは右クリック「プロパティ」(下図選択項目)をクリックして「パッドプロパティ」を開きます。
この画面でパッドの各種設定が可能です。主に使用する設定項目を以下に示します。
←1:パッド形状 パッドの種類を変更できます。スルーホール部品や固定穴は「スルーホール」、表面実装部品は「SMD」を選択します。表面実装のコネクタの場合は「コネクタ」を選択します。表面実装ではないのコネクタの場合は「コネクタ」では無く「スルーホール」を選んでください。「コネクタ」では穴が開きません。固定穴など電気的接続が無い穴はNPTHを選択します。
←2:形状 パッドの形状を変更できます。基本的には円形ですが、部品形状や必要強度によって楕円などの形状に変更します。1番ピンの場合は四角にすると区別がついてわかりやすくなります。
←3:X(Y)位置 パッドを配置する座標を入力します。原点(基本的に1番ピン)からの位置の距離を入力します。
←4:サイズX(Y) パッドサイズを設定します。円の場合は直径、楕円の場合はX,Y各方向での直径、四角や台形の場合は幅と高さになります。円の場合は、サイズYは入力できません。(台形の場合上辺と下辺の差は「台形のデルタ」に入力します)
←5:穴形状 ドリルの穴の形状を入力します。基本的には「円形穴」ですがコネクタなど足の形状に応じて「楕円穴」と使い分けます。
←6:穴サイズX(Y) ドリルの穴の直径(楕円形状の場合はX,Y各方向の大きさ)を入力します。部品の足の直径に応じて変更してください。部品の足より少し大きめにしておかないと足が刺さらなくなるのでご注意ください。
パッドがNPTHの場合はドリルの直径とパッドの直径を同じにします。
使用することは少ないですが、片面のみに銅箔を設けるなどをしたい場合は右側下部のレイヤーを変更します。
8-1-3パッドの追加
右側ツールバーの「パッドを追加」(図8-1→2)をクリックしてパッドの配置モードに入ります。パッドを配置したい個所でクリックするとパッドが配置されます。通常は既存のパッドと同一のパッド設定でパッド番号は続き番号になります。パッドの設定を変更する必要がある場合、先ほどと同じように編集します。
シルクへの図形の配置はプリント基板と同様の手順で作業が可能です。詳しくはプリント基板エディタの記事をご覧ください。また、シルク以外にも画面上のみで確認できる「F.Fab」や「B.Fab」レイヤーにも図形配置が可能なので必要に応じて使い分けてください。
編集が完了したら、上部ツールバーの「基板に変更を保存」(起動画面の図の↑1)をクリックして変更結果を保存します。
8-1-4図形の追加
右側ツールバーの「図形ライン(円,円弧,図形ポリゴン,テキスト)を追加」(図8-1→3)をクリックして図形の配置モードに入ります。部品の形状に合わせてプリント基板と同様にシルク線などを引いていきます。
8-2フットプリントライブラリの編集
まずは「フットプリントエディタ」(図1-2の↑4)を起動させます。
起動すると、先ほどの基板上のフットプリントの編集画面とほぼ同じ画面が表示されます。
ただしライブラリの編集の場合操作が大きく異なります。
□←1:ライブラリ 編集するライブラリ・フットプリントの選択を行えるほか右クリックで既存のライブラリへのフットプリントの追加、新規・既存のライブラリの追加なども行えます。
↓2:新規フットプリント 新たなフットプリントを作成します。このボタンを使用すると作成時点では保存先のライブラリは選択されません。
↓3:フットプリントウィザードを使用した新しいフットプリント パッケージの種類とパラメータを入力することで簡単にフットプリントを作る機能です。
↓4:ライブラリに変更を保存 現在編集中のフットプリントを指定のライブラリに保存します。
↓5:フットプリントのプロパティー
フットプリントのプロパティーの変更を行います。
↓6:パッドのプロパティー
パッドのプロパティーの変更を行います。
フットプリント自体の編集は基板上のフットプリント編集と同様です。そのためフットプリントの作成と保存のプロセスを説明します。
8-2-1 フットプリントの作成
まずは、編集するライブラリの選択を右クリックし「新規フットプリント」(下図選択項目)をクリックして新規のフットプリントを作成モードに入ります。ただし、初期状態で導入されているライブラリはProgram Filesに位置していて、ライブラリに上書き保存ができないので新しいフットプリントの作成や編集はできません。(作成しようとするとエラーが出ます)

新規の画面に入った後は部品の外形線やパッドなどを配置していきます。
保存の際は上部ツールバーの「ライブラリに変更を保存」(図8-3↓4)をクリック(または保存ショートカットキー「ctrl + s」)で保存を行います。
8-2-2既存のライブラリ内のフットプリントの編集
ライブラリ内から編集したいライブラリの[+]をクリックしてフットプリント一覧を表示させ、編集したいフットプリントをダブルクリックまたは右クリック「フットプリントを編集」をクリックすると編集モードに入ります。保存の際は上部ツールバーの「ライブラリに変更を保存」(図8-3↓4)をクリック(または保存ショートカットキー「ctrl + s」)で保存を行います。

8-2-3ウィザードによるフットプリントの作成
上部ツールバーの「フットプリントウィザードを使用した新しいフットプリント」(図8-3↑3)をクリックして「フットプリントウィザード」を開きます。
作成したいフットプリントの種類を選び「OK」をクリックします。なお、作りたいフットプリントの種類が、この中に無い場合はウィザードで作成することはできません。
左側に各種パラメータが表示されるので、それぞれ入力します。画面右側で完成イメージが、左側下部に完成時のパラメータが表示されます。
最後に上部の「エディタへフットプリントをエクスポート」(図8-4の↑)をクリックして、フットプリントエディタに反映させます。
保存の際は下図のように保存先のライブラリの選択画面が表示されます。保存したいライブラリを選択して下部の「保存」をクリックすると保存が完了です。

8-2-4 新規ライブラリの追加・既存ライブラリの読み込み
新規ライブラリを作る場合は「ライブラリ」(図8-3□←1) 内の任意の場所で右クリックをして「新規ライブラリ」(図8-5←1)をクリックします。ライブラリの保存先を聞かれるので任意の場所(ライブラリを保存したい場所)に保存をします。すると、ライブラリテーブルを選択ウィンドウが表示されます。現在開いているプロジェクトのみで使用したい場合は「プロジェクト」、プロジェクトに関係なくいつでも使用したい場合は「グローバル」を選択して下部の「OK」をクリックします。
図8-5 ライブラリ追加
既存のライブラリを追加する場合は右クリックで「ライブラリを追加」(図8-5←2)をクリックして追加したいライブラリのフォルダを選びます。以後の操作は新規ライブラリの追加と同様です。
目次
1章KiCadの初期設定
http://blog.handen.net/archives/20804511.html
2章 回路図エディタの使い方
http://blog.handen.net/archives/20804885.html
3章 PCB Parts Libraryのセットアップ
http://blog.handen.net/archives/20805521.html
4章 シンボルエディターの使い方
http://blog.handen.net/archives/20807934.html
5章プリント基板エディタPcbnewの使い方 その1
http://blog.handen.net/archives/20834925.html
5章プリント基板エディタPcbnewの使い方 その2
http://blog.handen.net/archives/20898093.html
5章プリント基板エディタPcbnewの使い方 その3
http://blog.handen.net/archives/20913926.html
6章データの確認とDRC
http://blog.handen.net/archives/20914426.html
7章面付とデータ出力・発注
http://blog.handen.net/archives/21338761.html
8章フットプリントエディタの使い方
http://blog.handen.net/archives/21363432.html
7-1 面付
小さな基板を複数作る時など、複数の基板を1枚にまとめる場合は面付を行う必要があります。面付けを行うために、Pcbnewをプロジェクトを介さずに直接起動させます。(インストールディレクトリから「pcbnew.exe」を直接起動)
起動したら、面付後の基板の外形寸法の枠を、「外形線」レイヤーで引きます。
続いて、基板のデータを読み込みます。ファイルメニューの「基板を追加」(下図選択項目)から、面付を行う基板のデータ(*.kicad_pcb ファイル)を読み込みます。
基板データを読み込むと、カーソルに面付を行う基板がついてくるので、基板上の配置したい箇所に面付する基板を配置します。すべての基板の面付が完了するまで、この作業(データ読み込みと配置)を繰り返します。また、部品の移動の時と同様に回転(「R」キー)なども行えます。
また、一度配置した面付を行う基板を選択(基板上でカーソルをドラッグ)すると、移動することもできます。面付を行うと、図7-1のようになります。この際に、ラッツネストの白線が表示される時がありますが、無視してください。
7-2 ガーバデータ出力
メニューバーの「ファイル」「プロット」(または上部ツールバーの「プロット」(図7-2↓))をクリックして「製造ファイル出力」ウインドウを開きます。
基本的には画像のように設定します。注意しておく点としては、レイヤー(図赤□)で「F.Cu」「B.Cu」「B.SilkS」「F.SilkS」「B.Mask」「F.Mask」「Edge.Cuts」が選択されていること、「ガーバオプション」の「Protelの拡張子を利用」(図7-3←1)にチェックが入っていることを確認すればよいでしょう。また、ビア上のレジストを除去したい場合は「ビアのテンティングを禁止」(図7-3←2)にチェックを入れます。(除去すると熱などによる長期的なビアの損傷を防げるがビアの金属部が露出する)「出力ディレクトリ」は空欄の場合は製作中のデータがあるフォルダに出力ファイルが入ります。変更したい場合は適時変更してください。そして下部の「製造ファイル出力」をクリックして基板のデータ(パターンデータ)を出力します。図ではデータのあるフォルダに作った”gerba”フォルダに入ります。
続いて穴のデータを出力します。「製造ファイル出力」ウインドウの下部の「ドリルファイルの生成」をクリックして「ドリルファイルの生成」ウインドウを開きます。
基本的には画像のような設定にしておけば大丈夫です。確認事項としては多くの中華基板業者では穴の内側に銅箔メッキのあるスルーホール(PTH)とメッキのない機構穴(NPTH)のファイルは1つする必要があるので「PTHとNPTHを1つのファイルにマージ」(←1)にチェックを入れます。基板業者によっては別々に出力するところもあるのでそれに従うようにしてください。また、データファイルフォーマットは「ガーバ」(←2)、ドリル単位は「mm」(←3)(先ほどのパターンデータの単位と同じ)、ゼロの扱いは「小数点フォーマット」(これにしないとFusionPCBのガーバビュワーなどでバグる)にも注意してください。確認が出来たら「下部のドリルファイルを出力」をクリックしてドリルファイルを出力します。
最後に、各ウインドウの「閉じる」をクリックして終了させます。
これにて基板データの作成は終了ですがFusionPCBなどの業者に注文する際は一部ファイルの拡張子の変更とファイルのzip化が必要です。FusionPCBのサポートページ(http://support.seeedstudio.com/knowledgebase/articles/1176223-%E3%82%AC%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%92%E5%87%BA%E5%8A%9B%E3%81%99%E3%82%8B%E6%96%B9%E6%B3%95)にファイル送信時の拡張子が書かれています。
pcbname.GTL:表銅箔
pcbname.GTS:表ソルダマスク
pcbname.GTO:表シルク
pcbname.GBL:裏銅箔
pcbname.GBS:裏面ソルダマスク
pcbname.GBO:裏面シルク
pcbname.TXT:ドリル
出力したファイルはこのようになっており、基板の外形線(拡張子.gm1)とドリルファイル(拡張子.drl)以外はFusionPCBの指定する拡張子で出力されています。そのため、FusionPCBの指定する拡張子になっていない外形線とドリルファイルの拡張子を変更します。ドリルファイルは拡張子を「drl」から「txt」に、外形線は「gm1」から「gml」に変更します。(厳密には変更しなくても通るっぽいですが、公式ルールに合わせましょう)
6-1 3Dビューの使い方
3Dでの確認作業は、Pcbnewメニューバーの「表示」「3Dビュアー」をクリックして、3Dビュアーを起動させます。
3Dビュアーではこのように製作した基板を3Dで確認することが可能です。ここで基板上の部品同士の干渉やシルク表記などに問題がないかどうかの確認を行います。また「ズームイン」(図6-1↑1)で拡大、「ズームアウト」(↑2)で縮小、「ビューの再描画」(↑3)で3Dビューの再描画、「ページに合わせる」(↑4)で3Dビューの拡大・回転等のリセット、「X(Y,Z)軸回りに右(左)回転」(↑5)で各方向の回転、「左(右,上,下)へ移動←(→,↑,↓)」でビューの移動ができます。また、マウスのホイール回転で拡大縮小、左クリック+ドラッグでビューの回転、ホイールクリック+ドラッグでビューの移動ができます。
また、↑1の左側のアイコン「レイトレーシングを使って現在のビューをレンタリング」をすると描画が美しくなります。
3Dビューの一部部品で向きが異なることや、大きさが異なることがあります。また、使用部品により3Dビューが表示されない場合があります。基本的にここで表示されない部品の多くは3Dデータがない部品ですので表示させることが困難なことが多いですが、稀に他の3Dデータで代用できることがあります。それらの対処方法を紹介します。
4-2 3Dビューのエラー対策
一旦Pcbnewに戻り、3Dビューで問題のある部品を右クリックして「プロパティー」をクリックして「フットプリントのプロパティー」を開きます。
上部のタブ選択部から「3D設定」タブを開きます。 大きさに問題があった場合は下部の「スケール」(図6-2□1)に適当な倍率を入力して大きさを調整します。プレビュー画面を見ながら調整するのが良いでしょう。角度に問題がある場合は「回転」(図6-2□2)に値を入力して調整します。位置がずれる問題があった場合は「オフセット」(図6-2□3)にそれぞれ値を入力して位置を調整します。X,Y,Zはそれぞれ3Dビューの回転軸と同じ方向です。
3Dが表示されない場合でほかの3Dデータで代用できるときは、「+」(↓4)をクリックして代用できる3Dデータを開きます。3Dデータはあらかじめ3Dデータのビュアーなどでデータを確認しておいてください。また、最初から3Dシェイプが設定されていた場合(上部「3Dシェイプ名」になにかしら設定されている場合)は「ゴミ箱」(↓5)で古い設定を削除します。
3Dビューで問題がないことを確認したら次の作業へ進みます。問題があった場合は問題個所を修正します。また、3Dビュアーは基板の作成途中でも使用できるので適時使用すると良いでしょう。
4-3デザインルールチェック(DRC)
Pcbnew上部ツールバーの「デザインルールチェックを実行」(図5-2↓10)をクリックして、「DRC」ウインドウを開きます。下部の「DRCの実行」をクリックしてDRCを実行します。DRCが完了して下図のように何も表示されていなければ、DRC違反はありません。
ここで、「問題/マーカ」にエラーが表示されている場合は、その問題点を修正します。また「未接続」がある場合も未接続の配線を接続します。