前回まではVVVFの設計のお話と回路設計ツールのお話をしていましたが、今回は実際に作ったお話をしたいと思います。
まずは基板の構成を考えました。パワー側は、AC100Vを、トランスを使って200Vに変換し、それを整流回路を使ってDC280Vに変換して、VVVFのパワー電源を確保しました。そして、論理側は、Arduinoで3相交流の波形を生成して、ゲートユニットでゲート信号を作成、そしてメインのパワーユニットに供給という形で組んでみました。
まずは、パワーユニットの設計です。
今回は電車のVVVFを再現するということもあって、効率が悪いのを知ってながら、ロマンでIGBTを使うことにしました。設計した時はモータが決まってなかったので、定格電流3Aで4.5A設計として設計してみました。IGBTを「RJH60F6DPK」を使って、計算をしてみたら、秋月で60円で売られている「40*25*17mmの放熱板」ではちょっと放熱性が不足するなあとなって、一番大きい「54*50*15mmの放熱板」を使うことに。
ところが、後になってからスイッチング損失の計算で1桁間違えていることに気が付いて、実は小さい方で足りたという事故… まあ放熱性が高いことには問題ないのですが…
一応計算はこんな感じ。後のゲートドライバの設計の都合上とかでゲート抵抗を大きくしたので、その辺も考慮してみました。
データシートではゲート抵抗5Ω→実際には50Ω tf 2倍 tf 1.2倍 程度で見積もり
遅延時間+上昇下降 4.378*10-7 S
発熱量 電流4.5Aで損失7.875W 設計定格3Aの1.5倍
スイッチング損失 5kHz (50*2+200*1.2)*10-9*5*103
= 0.017W
計7.892W
許容温度-外気温 150-40 =110℃
許容熱抵抗 110/7.892 = 13.94 13.94 –
0.42 = 13.52℃/W
あとはコネクタとかをちゃちゃっと決めて回路図を描きます。
NETリストを出してプリント基板を作成
3Dビューもあるけど、部品が特殊すぎて、3Dデータが全然ない…
こうやってパワーユニットは完成
次はゲートユニットの設計
メインとなるゲートドライバは秋月で見た目使いやすそーなやつってことで「IR2110」を選択。実はこれが後のプログラムでやらかす原因になってしまう…
まずは、ブートストラップコンデンサを計算して決定。最初は1uFで設計していました。実はこれも計算が間違っていることに作ってから気が付く… 原因はゲートチャージ[C]を入れないといけないところにゲート容量[F]を入れていたという初歩的なミス。(IGBTだったからゲートチャージが書かれていなくて、うっかりゲート容量で計算していたというオチ)まあ、最終的には47uFになりました。
ダイオードとかは数が安くて特性がよかった「KCF16A60」を使用。ただし、TO-3Pパッケージだからやたらに大きい…
そして、IR2110は一応ロジック側とパワー側でGNDが分かれているから、フォトカプラはいらないかなーと思いましたが、完全な絶縁ではなさそうだったので一応フォトカプラを利用。安いTLP785を使いました。出力にはプルダウンを何も考えずに挿入。実はこれはかなり危険な行為だった… (ゲトドラの種類によってプルアップが定位のものがあったという)
他はテキトーに選んで回路図を書きました。
場所がまだあったので、整流回路も同じ基板に面付することに
なので、整流回路の設計
倍電圧整流じゃないのでブリッジダイオードを使用。電流だけ見て適当に「KBJ410」
を選択。コンデンサも電圧変動とかを考慮して計算。出力2Aで200uF程度あればよさそうだったけど、ゆとりをもって100uFを3つ付けられるように。耐圧はギリギリだけど400V。これ以上のがなかったからやむなし…
プリント基板を作るのに必要なので、一応回路図を書いて
基板を設計
面付した3Dビューがこんな感じ
そしてデータを出力してelecrowに発注
到着 結構出来が良てびっくり
Elecrowに頼まなかったマイコン上の基板も適当に設計しておいて
あとは配線をつないで、プログラムを描いて実際に実験を開始
続きは次回