モータの鳴らし方byHanDen

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2017年06月

回路編 第5回 半導体スイッチ

VVVFの作り方第5回は半導体スイッチです。第4回まで半導体スイッチよりもさらに基礎的なお話をしてきましたが、第5回になってやっとVVVFの根幹部分である半導体スイッチのお話ができるようになりました。(長かった…)鉄道でVVVFと言えばGTOサイリスタとかIGBTとか聞いたことがあると思います。このようにVVVFの種類のように言われるくらい重要な素子というわけです。この章を読めば、なぜ素子の種類によって音が違うのかということやVVVFはなぜメッシュ状のケースに入っているのかということがわかると思います。

 

種類

トランジスタ

正式にはバイポーラトランジスタと言います。トランジスタというと意味的には後のMOSFETなども含んでしまいますが、単にトランジスタというとバイポーラトランジスタのことを指すことが多いです。

アナログ回路では電流を増幅させるために用いる部品ですが、デジタル回路では電流を入り切りするためのスイッチとして使います。また、大電流を扱うことができるトランジスタは特にパワートランジスタと呼ばれています

MOSFETに比べると高耐圧で大電流に耐えることができますが、スイッチの速度が遅いのが特徴です。

また、コレクタ電流(主回路電流)はゲート電流で制御するのでトランジスタの制御回路もある程度の大電流に耐える回路が必要になります。

 

MOSFET

あくまでトランジスタの一種ではありますが、バイポーラトランジスタが電流制御であるのに対してMOSFETは電圧制御でスイッチをします。なので、制御回路には理論的には電流は流れません。ただし、電流が流れないというのはあくまで理論上の話で、実際にはゲート部にコンデンサの要素を持っているため電流は流れてしまいます

また、トランジスタに比べて高速にスイッチができますが構造的に耐圧を上げるとオン抵抗が増加し、発熱の関係で耐電流が大幅に低下するという特徴がありますが、近年は技術の進歩でSicと呼ばれる炭化ケイ素で作られたMOSFETが電車のVVVFでも使われるようになりました。

 

IGBT

トランジスタの高耐圧大電流特性とMOSFETの高速スイッチ性と電圧制御を組み合わせ高耐圧耐電流に耐え、高速スイッチで電圧制御にした部品スイッチ速度はMOSFETより遅くなりますが、高耐圧で大電流に耐えます構造的にはゲート部がMOSFETのトランジスタです。

 

サイリスタ

昔は鉄道分野でもよく使われていた素子です。昔の交流電車で使われていたほかVVVFでも使われていましたが、近年はあまり使われなくなった素子です。

上の3つに比べて高耐圧で大電流に耐えるという特性がありますが、スイッチ速度が遅い他、通常構造のサイリスタでは一度ONにすると何かしらの方法でメイン回路に流れる電流を切らない限り電流が流れ続けてしまうという問題があります。交流回路では電流の波が0になるタイミングがあるので問題ないのですが、直流回路では都合が非常に悪いです。これを改良したものにGTOサイリスタと呼ばれるものがあり、少し前の鉄道車両のVVVFでは非常によく使われていました。GTOサイリスタはメイン回路の電流を切らなくても、制御端子から電流を引き抜くことでメイン回路の電流を切ることができます。なお、電子回路レベルだけでなく、近年は鉄道車両分野でも使われなくなったのでここでの紹介だけにしておきます。

 

図記号と端子

ここで、トランジスタ、MOSFETIGBTの図記号とそれぞれの端子示します。端子名を出さないと以後の説明が大変なのでそれぞれの端子の機能を知っておいてください。


スイッチ図記号

各端子の機能

トランジスタ

B:ベース npn型ではこの端子に電流を流し込み、pnp型では電流を引き出すことでコレクタ,エミッタ間の電流を制御する

C:コレクタ npn型では電流が流れ込む端子で pnp型では電流が流れ出す端子で、ベースに流した電流のhfe倍の電流が流れる

E:エミッタ npn型では電流が流れ出す端子でpnp型では電流が流れ込む端子で、コレクタとベースに流れる電流の和の電流が流れる。 

 

MOSFET

G:ゲート ソース端子との間の電圧によりドレインソース間の電流を制御する端子Nチャンネルではソースより高い電圧でドレインソース間が通電しPチャンネルではソースより低い電圧を加えることでソースドレイン間が通電する

S:ソース Nチャンネルでは電流が流れ出す端子でPチャンネルでは電流が流れ込む端子ゲートとこの端子の間の電圧で駆動するMOSFETの特性上MOSFETを駆動する基準となる電圧を取る端子である。

D:ドレイン Nチャンネルでは電流が流れ込む端子でPチャンネルでは電流が流れ出す端子。

 

IGBT

G:ゲート エミッタとこの端子との間の電圧でコレクタとエミッタ間に流れる電流を制御する端子

E:エミッタ 電流が流れ出す端子で、ゲートとこの端子との間の電圧で駆動するIGBTの特性上、IGBTを駆動する基準となる電圧を取る端子でもある。

C:コレクタ 電流が流れ込む端子

 

トランジスタとMOSFETではnpnpnp型、NチャンネルPチャンネルとありますが基本的にVVVFなどのパワー回路で使われることが多いのはnpn型やNチャンネルです。理由としては素子自体の性能が良いということや、ベース・ゲートに電流や電圧をかけるとメイン電流が流れるのでわかりやすいといったことがあります。なお、電子回路レベルの電流が少ない場合でもnpn型・Nチャンネルが使われることが多いです。しかし、パワー回路ではベース・ゲート駆動用の電源が用意できないなどの都合でpnp型やPチャンネルを使う場合もあります。詳細は次回とします。

 


 

半導体スイッチの用途

半導体スイッチはその名の通りスイッチをするための部品ですので、電気指令でスイッチをオンオフする回路で使われます。LEDを点滅する回路であったり、モータを回転させる回路であったりスイッチをする必要のある個所では様々な箇所で使われますね。

 

半導体スイッチの比較

それぞれの半導体スイッチの簡単な性能の比較をしたいと思います。性能的に大なり小なりをつけてますが、多少の前後はあるかなあと思います。

スイッチング速度

MOSFET>IGBT>トランジスタ>サイリスタ

スイッチできる速度の差はこのような感じになっています。電車のVVVFでもパワートランジスタを使った車両(2070番台とか)はかなり低音が流れるのに、IGBTを使ったVVVFは比較的高い周波数が聞けますね。さらにSic-MOSFETの車両(323系など)はもっと高い音が聞こえてきますね。このことからも直感的にわかると思います。まあ、GTOサイリスタはパワートランジスタに近い感じの音が聞こえてきますので、スイッチング速度は遅いってことがわかります。

 

耐電力(耐電圧・耐電流)

サイリスタ>IGBT>トランジスタ>MOSFET

イメージ的には古い車両にあるトランジスタのほうが耐電流が高そうですが、少なくとも近年の世界ではIGBTのほうが性能高い模様です。電車のVVVFで新しい世代のほうが性能が低くなるのは、半導体技術が進歩して性能が相対的に低い素子でも電車を走らせられるようになったというのが大きいです。

 

半導体スイッチでの損失

ダイオードの回でもありましたが、半導体スイッチにも損失というのもが発生します。ダイオードでは計算可能な損失は順方向の電圧降下と順方向の電流の積の損失だけでしたが、半導体スイッチでは半導体を電流が通るうえで発生する損失のほかに、スイッチのON/OFF時にも損失が発生してしまいます。損失はそれぞれ別途で計算をしてから足し合わせることで求めることができますので、今回はそれぞれ別々に考えたいと思います。

半導体を電流が通るときの損失

わざわざ、題名をこんなに長く書いたのには理由があります。それは半導体を電流が通るときに発生する損失の発生原理がトランジスタ・IGBTMOSFETで違うからです。

トランジスタ・IGBTでは半導体に流れる電流によらずほぼ一定の電圧が半導体で消費されます。これはダイオードと同じで順方向電圧というものです。順方向電圧と順方向の電流の積が損失となるわけです。

これに対してMOSFETでは半導体に電流によらずほぼ一定の抵抗が発生します。これをオン抵抗と言います。つまり、オン抵抗と電流の2乗との積で損失が発生します。

トランジスタとIGBTでは流れる電流に比例して発熱量が増えるのに対して、MOSFETでは流れる電流の2乗に比例して損失が発生します。損失の増え方をざっと簡単なグラフで見てみましょう。

比較1

このグラフでは横軸が電流で、縦軸が損失です。つまり、電流が少ない状態ではMOSFETは損失が少ないですが、電流が増えると圧倒的に損失が増えるということです。

しかし、実際にトランジスタ・IGBTMOSFETでどちらの方が損失が少ないかというと、基本的には電圧が低い回路ではMOSFETの方が損失が少なく電圧が高い回路ではトランジスタ・IGBTの方が損失が小さくなります。理由は、MOSFETは構造的に耐圧を高くすると半導体の厚みが増しオン抵抗が高くなってしまうからです。

 

比較

実際に秋月で売られている部品同士で比較をしてみます。条件は価格と耐圧が近いことにします。

耐圧が50V程度の場合

トランジスタを2SC1061C(耐圧50V  35 順方向電圧1.0V)MOSFET2SK4017(耐圧60V 30 オン抵抗0.07Ω)として比べてみます。条件的にはFETの方が悪いです。

比較2

MOSFETの方が条件が悪いにもかかわらずMOSFETの許容電流の範囲(トランジスタの許容範囲超えてるのは無視)では圧倒的にMOSFETの方が発熱が少ないことがわかります。つまり、低圧で低電流な場合ではMOSFETは圧倒的に有利なわけです。

 

耐圧50Vで大電流の場合

トランジスタ系の素子で低耐圧かつ大電流の素子が秋月では売られていません。そのため、トランジスタ系のみ耐圧が高いもので比べてみます。IGBTRJH60F6DPK(耐圧 600V 300円 耐電流85A 順方向電圧1.75V) MOSFETTK100E06N1(耐圧60V 160円 耐電流100A オン抵抗1.9mΩ)で比べてみます。

比較3

トランジスタ系の素子は耐圧を無視しても最も電流を流すことができる素子を選びました。耐電流を下げるともう少し順方向電圧が低いものもありますがせいぜい2割程度下がるだけです。この場合でもMOSFETは発熱量がトランジスタに比べて圧倒的に小さいことは明らかです。つまり、低圧の回路では圧倒的にMOSFETが有利なことがわかります。

 

耐圧が600Vの場合

IGBTGT50JR22(耐圧600V 320円 順方向電圧1.55V) MOSFETTK31J60W(耐圧600V 320円 オン抵抗0.073Ω)で比べてみます。最初の50Vで部品をそろえた時と条件を合わすためにまずは5A以下のグラフを見てみましょう。

比較4

耐圧が高くなったのに先ほどと同じようなグラフになりました。電流が少ないと、この程度の耐圧でもMOSFETが勝ってしまうのです。続いてMOSFETの耐電流である30Aまで電流を増やした場合を見てみましょう。
比較5

 20Aを超えたあたりでやっとMOSFETの発熱がIGBTの発熱を上回りました。このように電圧が高くてかなりの大電流を扱う場合(大電力)IGBTが有利なのです。

 

以上より低圧の回路ではMOSFETを使う方が、圧倒的に発熱が少なく高圧大電流の回路ではトランジスタ系の素子の方が発熱が少ないことが明らかになると思います。つまり、鉄道ぐらいの大きさになればMOSFETよりIGBTの方が圧倒的に発熱が少なくなるのでIGBTがよく使われてきたというわけです。

これより、電圧も比較的低くて電流も少ない電子工作レベルではMOSFETが適切な素子と言えますね。

 

スイッチング損失

スイッチング損失はスイッチをON/OFFするときに際に発生する損失のことです。先ほどの順方向電圧と電流の積による損失やオン抵抗による電流の2乗の損失に比べると小さなものにはなりますが、スイッチ速度が比較的遅いトランジスタやIGBTで高い周波数でのスイッチングを行うと、損失は大きなものになります

なお、ここでのスイッチングの周波数というのは出力正弦波の周波数ではなく正弦波を生成するためのPWMの周波数のことです。

スイッチング損失というのがなぜ発生する理由を説明します。半導体スイッチがON/OFFをするときは瞬間的にON/OFFするのではなく少し時間をかけてON/OFFの動作をします。その様子を表したグラフを見てみます。
オン時間

Iと書かれている線がON時に半導体スイッチに流れる電流を示していて、Vが半導体スイッチにかかる電圧を示しています。そして、電流が10%から90%になる間の時間をtr(立ち上がり時間)としています。

このグラフより、半導体スイッチにある程度の電圧がかかっているのに電流が流れているタイミングがあることがわかります。スイッチング損失はこの時間に発生します

また、半導体スイッチをOFFにするときにも同じように損失が発生します。

 

スイッチング損失の損失の計算は以下の式になります。

Ion:オン時に半導体スイッチに流れる電流[A]

Voff:オフ時に半導体スイッチにかかる電圧[V]

tr:半導体スイッチの立ち上がり時間[s]

tf:半導体スイッチの立ち下り時間[s]

f:スイッチング周波数

P:損失[W]

スイッチ1

この式は、1回あたりの発熱量[J]に周波数をかけて1秒当たりの発熱[W]にしたものです。

半導体スイッチの立ち上がり立ち下がり時間が比較的遅い素子では損失がスイッチング周波数が高いと無視できない程度になります。

 

トランジスタ、IGBTMOSFETのスイッチング損失を確認します。条件と使用する素子は以下の通りです。

オフ時の電圧:100[V]

オン時の電流:5[A]

スイッチング周波数:1[kHz]

トランジスタ:2SC2837(立ち上がり時間0.2μs立ち下がり時間 1.1μs)                 

IGBT:RJH60F6DPK(立ち上がり時間80ns立ち下がり時間 74ns) 

MOSFET:2SK2698(立ち上がり時間50ns立ち下がり時間 65ns)     

スイッチ2

上からトランジスタ、IGBTMOSFETの順になっています。トランジスタの立ち上がり立ち下がり時間が長いので圧倒的に損失が大きい結果となりました。

スイッチング損失は、半導体スイッチを電流が通るときに発生する損失に比べるとはるかに小さいものとなっています。今回のように電圧が比較的低く、スイッチング速度もそこまで大きくない場合は損失が小さいですが、電圧が高くて高速スイッチングを行う場合では無視できない程度の損失にもなります。

電車位の規模だと、この損失も大きくなるので、立ち上がり立ち下がり時間が長いパワートランジスタやサイリスタ系の素子で高速なスイッチングを行うと損失はとんでもなく大きいものになり、非効率と言えます。パワートランジスタやGTOサイリスタのインバーター音が低いのもこれも理由の1つです。

 

半導体スイッチの選定方法

今回のお話で最後のお話として、半導体スイッチの選び方そして取り付ける放熱板の選び方のお話をします。

まず、半導体スイッチを選ぶにあたってトランジスタを使うか、IGBTを使うか、MOSFETを使うかの3択があります。基本的には100~200Vを超えるような比較的高い電圧で10Aを超えるような大電流を流す場合はIGBTを選択し、これ以外の場合はMOSFETを選ぶのが無難です。トランジスタはIGBTMOSFETで最適な部品が見当たらない場合に使うとよいでしょう。

 

型番の選び方

単純にデータシートに書かれている耐電流と耐電圧を見て決めるのはいけません。理由は半導体スイッチには損失がありその損失が熱として放出され半導体の許容温度を超えるからです。

 

損失による半導体の温度は以下のような式で表せます。

T:温度[]

P:発熱量[W]

R:熱抵抗[/W]

T = P×R

単位から考えると簡単だと思います。発熱量はもちろん半導体スイッチに電流が通るときの損失とスイッチング損失を足し合わせたものです。

 

例として、MOSFETTK100E06N1にデータシートに書かれている最大電圧印加時に最大電流を流した場合の温度を計算してみます。

オン抵抗による損失

100^2*0.0019=19[W]

1kHzでのスイッチング損失は

(1/6) *100*60*(67+64)*(10^-9)*1000=0.131[W]

足し合わせて

19.131[W]

となります。そして、放熱板を付けない場合の熱抵抗は88.3[/W]なので、温度は

19.131*88.3 = 1689.2673[]

となります。温度的に考えると鉄が溶ける温度よりもさらに上の温度です。もちろんこんな温度に半導体が耐えるわけがありません。つまり、データシートに書かれている最大電流はあくまで相当な放熱対策をした場合の値というわけです。

型番を選定するときは、発熱量と放熱性を考えて部品制定をする必要があります。

 

選定の方法は以下の2つの方法があります。

・耐電流に対して使用する半導体を選び、発熱量に合わせた放熱板を選定する

・放熱板のサイズをあらかじめ決めておき、耐電流より最大のオン抵抗か順方向電圧降下を求め、それを満たす半導体を選ぶ

 

まずは、前者の選び方の計算方法です。まずは発熱量を計算します。

Ion:オン時に半導体スイッチに流れる電流[A]

Voff:オフ時に半導体スイッチにかかる電圧[V]

Ron:MOSFETのオン抵抗[Ω]

VCE:トランジスタ・IGBTの順方向電圧[V]

tr:半導体スイッチの立ち上がり時間[s]

tf:半導体スイッチの立ち下り時間[s]

f:スイッチング周波数

P:損失[W]

 

18/01/24追記 MOSFETのON抵抗は温度が最大の時のオン抵抗で計算を行う必要があります。温度が最大の時のオン抵抗はデータシートのグラフを確認してください

スイッチ3

このように発熱を求めることができます。そして、放熱板を選定する上で必要なパラメータである熱抵抗を計算します

Tair:外気温[]

Tj:半導体の許容温度[]

P:損失[W]

R:熱抵抗[/W]

スイッチ4

こちらも単位から考えると簡単だと思います。

これで熱抵抗が求まりましたが、この値の熱抵抗を持つ放熱板を取り付けてはいけません。理由は半導体と放熱板の間にも熱抵抗が発生するからです。その熱抵抗は半導体内部と半導体のケースの間、そして半導体のケースと放熱板の間です。

半導体の内部とケースの間の熱抵抗はデータシートに書かれていますのでそれを利用できます。

そしてケースと放熱板の間の熱抵抗は間に挟む絶縁シートなどにより異なります。その計算方法は以下の通りです。

λ:熱伝導率[W/m*K]  Kは温度差なのでは℃として計算可

t:放熱シートの厚さ[m]

A:放熱シートの面積[m]

キャプチャ

最終的に放熱板を選ぶときは、先ほど求めた熱抵抗から半導体の内部とケースの熱抵抗とケースと放熱板の間の熱抵抗を引いた値以下の熱抵抗をもつ放熱板を使わなければなりません。

例として、先ほど100Aを流すと鉄が溶ける温度になったTK100E06N1に取り付ける放熱板の熱抵抗を計算します。

発熱量は19.131[W]で半導体の許容温度は150[]で外気温を35[]とすると

R= (150-35)/19.131 = 6.011[/W]

となります。

半導体の内部とケースの熱抵抗は0.49[/W]TO-220の絶縁シートの熱抵抗は以下のように計算します

λ:熱伝導率[W/m*K] 

t:放熱シートの厚さ[m]

A:放熱シートの面積[m]

スイッチ5

これより放熱板の熱抵抗は以下の値を下回る必要があります。

Rheatsink = 6.011 – 0.49 -1.087 = 4.434 [/W]

実はこの値の下回る放熱板は秋月では売られていないです。つまり、かなり大型のヒートシンクが必要というわけです。

ヒートシンクが見つからない場合は最初に戻って、別の半導体スイッチを探して再度計算します

 

放熱板の大きさから大体のオン抵抗か順方向電圧の目安を算出して、半導体スイッチを探す方法

放熱板を選ぶと熱抵抗がわかります。その熱抵抗に、半導体の内部から放熱板までの熱抵抗として仮に2[/W]を足し合わせます。続いて、半導体の許容温度ですが大体150[]程度のものが比較的多いので、許容温度150[]、外気温は35[]と仮定して計算をします。スイッチング損失については比較的小さい値ですので省略して考えると、以下のように最大発熱量が求まります。記号は今までと同じなので定義は省略します。

スイッチ6

許容発熱量の概算が求まれば必要な順方向電圧かオン抵抗は簡単に求まります。
MOSFET
17/12/24 式訂正 (入力ミスで^2のところをROOTしていました)

ここで求めた順方向電圧、オン抵抗と最大順方向電流そして耐圧を満たす素子を選びます。そして、選んだ素子のデータシートから各種パラメータを正式に導き出し、実際の発熱を計算します。この温度が許容温度を下回っていれば選んだ素子が問題なく使用可能というわけです。

 

安全率

安全率とは実際に使用する際に必要な性能に対して設計段階で持たせた余裕の率です。電子工作レベルでの半導体スイッチの選定では最初のオン時に流れる電流の段階で実際に流す電流の1.5倍から2倍程度の電流まで流しても大丈夫なように設計すれば問題ありません。

今までの式のIonは実際に流す電流の1.5倍から2倍程度の電流値として計算をすればよいでしょう。

回路編 第4回 ダイオード

VVVFの作り方第4回はダイオードについてです。

前回のコンデンサとインダクタについてはアナログ回路的に考えると非常に難しいものでしたが今回以降はまた別のベクトルでちょっとややこしい話にはなります。ただ、今回の難しいところはVVVFの設計のミソとなる部分なのであまり簡単に説明はするものの、省略はできません。今回の話と次回の半導体スイッチの設計法を読めば電車のVVVFとかチョッパーがなぜ通気性の良さそうな箱に入っているのかってことがわかると思います。

 

 

ダイオードとは

ダイオードって言われて何に使うものか思いつくでしょうか?最近だと省エネ関連で発光ダイオードであるLEDの照明とかが有名なのでなんとなく名前を聞いたことがあるかもしれません。ダイオードを一言で言うと、一方向にしか電気を流さない素子です。しかし、ダイオードの中にはLEDのように光を発してそれ自体が電力を消費させるのが目的のものもあれば交流を直流に変換する回路で使う場合もあり用途は1つではありません。ただ、基本的に知っておく必要があるのは一方向にしか電流を流さないということだけかなと思います。

 

種類

整流用ダイオード

P_20170611_141340

ごくごく普通のダイオードです。電子回路レベルから整流回路そして半導体スイッチなどの逆電圧保護など多くの個所に使います。

 

ファストリカバリダイオード

整流ダイオードでは電流が流れていた時に逆向きに電流を流そうとすると、ごくわずかな時間は逆向きに電流が流れてしまいます。(この流れる時間を回復時間と言う)この現象を小さくしたのがファストリカバリダイオードです。基本的には比較的高速なスイッチングをする回路に使うかなと思います。

 

ショットキーバリアダイオード

ショットキー現象を用いたダイオードで順方向の電圧降下が少なくてファストリカバリダイオードの回復時間も短いが、逆電流を流そうとすると漏れ電流がほかのダイオードに比べて多く流れてしまうダイオード。他のダイオードよりは効率は良いですが設計上では注意しないといけないと思います。

 

定電圧ダイオード(ツェナーダイオード)

ダイオードの逆方向に一定以上の電圧を加えると逆向きに多くの電流が流れてしまう特性ツェナー降伏)を使ったダイオード。回路を一定以上の電圧にさせないクランピングを行いたいときに使う。パワー回路でサージ保護に使うこともある

 

パワー系の回路ではこの4種類が多く使われています。なお、整流用ダイオードを組み合わせてブリッジダイオードなどもあります

また、電子回路でよく使うダイオードも一部紹介しておきます。

 

定電流ダイオード

ダイオードにかかる電圧によらず一定の電流が流れるダイオード

 

発光ダイオード

P_20170611_144855

その名の通り光を出すためのダイオード。整流目的で使うのではなくあくまで発光素子として使うものである。

 

信号用ダイオード

 整流用ダイオードの小型版で小電流の信号を通すことを目的としている。

 

ダイオードの図記号と方向の読み方

ダイオードの図記号は整流用およびファストリカバリダイオードが左ショットキーバリアダイオードが中左定電圧ダイオードが中右発光ダイオードが右です。他の種類については省略します。後者2つの角度とかは図の作者によって多少の差はあります。

ダイオード図

 

ダイオードの用途

ここでは整流ダイオード(整流用、ファストリカバリ、ショットキーバリア)で組まれる回路についていくつか紹介します。他のダイオードはそれぞれ個別の役割があり、上で紹介した通りです。

整流回路

名前の通りの用途で、交流を直流に変換するための回路です。整流回路にはいろいろな種類がありますが、これについてはまた別の回で詳しく書きたいと思います。

昇圧回路

コンデンサと組み合わせてブートストラップ回路などを構成する部品として使われます。

半導体部品の保護

半導体部品には正規の方向以外の向きに電流を流そうとすると破壊されるものがあります。そのような半導体部品と逆向きにダイオードを入れることで逆電圧がかかるとダイオードに電流が流れて、部品を保護します。

 

ダイオードは単純に用途と言って説明しきれないくらいいろいろなところに使われます。ここで紹介したもの以外の回路でも一定方向しか電流を流さない特性を利用するときに使われるということを知っておいてください。

 

 


 

設計方法

電子回路レベルでのダイオードの設計方法は基本的にデータシートに書いている耐電圧耐電流を守れば問題ありません

しかし、パワー回路ではそれが通用しない場合があります。それは、ダイオードに電流が流れると発生する順方向電圧と流れる電流の積による電力損失で半導体の許容温度を超えるというものです。この現象自体は次回の半導体スイッチでも同じようなことが発生します。また、順方向の電流を突然逆方向に切り替えると一瞬だけ逆向きに電気が流れる(以後はリカバリ特性って書きます)ので、逆方向に流れる電流と発生電圧の積による損失も発生します。後者については基本的に周波数が低い回路では気にする必要はありませんが前者は周波数に関係なく考えないといけません。今回はその計算を簡単にしてみたいと思います。

順方向電圧と電流による発熱は一応以下の式で表すことができます。

ダイオード1

順方向電圧については電流によって変化するので厳密に求めたいならデータシートのグラフを参考にしてもらえればよいですが、データシートには最大電流での順方向電圧が書いてあることが多いで基本的にはそれで計算すればよいです。(安全側に働く設計となる)そして、ここで発生した熱は、基本的には空気中に逃げるわけです。空気に逃げる熱量を数値的に示したのが熱抵抗というパラメータです。式の内容としては1Wの放熱をするために半導体と外気温に何度の温度差が必要かというのを表したもので単位は[/W]です。外気温や半導体の耐える温度を以下のように置いて式を立てます。

ダイオード2

単位から考えると簡単だと思います。そしてこの式と先ほどの発熱量の式を組み合わせると

ダイオード3

となり、変形すると

ダイオード4

となり、データシートのパラメータと外気温から損失込みの許容電流を求められます

外気温は夏を考慮して基本的には35から40℃程度で計算します。また、熱抵抗についてはダイオードに放熱板を取り付けない状態での熱抵抗(放熱先が空気)のほかに放熱板を付けた場合に使うダイオード内部とダイオードのケースの熱抵抗などが書かれています。(書かれていないのも結構ありますが…)

例を示してみます。整流用によく使われている1N4007だと順方向電圧が1.1V 空気に対する熱抵抗が110/W で耐熱温度が150℃ 外気温を35℃とすると

ダイオード5

となります。このように小容量の素子でばデータシートに書いてある通りの電流をほぼ流せます。しかし、同じ計算方法でA電流が流れるダイオードの計算をすると放熱板をつけないとデータシートに書かれている最大電流が全然流せない場合もあるので注意が必要です。

次に、リカバリ特性ですが、計算に必要なパラメータがファストリカバリダイオードでない限り書いていないことが多いので計算は省略します。

回路編 第3回 コンデンサ・コイル

VVVFの作り方の第三回はコンデンサとコイルについてです。

コンデンサとコイルについては本格的な話をするとあまりにも難しいので比較的簡単なところだけかいつまんで解説したいと思います。VVVFを作る上で必要になるであろうことを選んで紹介するつもりです。

 

コンデンサもコイルもどちらもエネルギーをためる性質をもった素子です。しかし、交流の話になると抵抗的な動作をするという少しややこしい特性を持っています。なお、コイルは回路の世界ではインダクタと呼ばれることの方が多いの以後はインダクタと記載します。(コンデンサはキャパシタともいうけど、コンデンサっていう方がしっくりきます)

 

コンデンサの種類

セラミックコンデンサ

P_20170611_223444

電子回路においてノイズの除去や、水晶の発振、周波数フィルタなどに多くの個所・目的に用いられることが多いコンデンサ。容量は小さいが高周波における特性が良い


 

積層セラミックコンデンサ

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セラッミックコンデンサを積層させることで容量を増加させたコンデンサ。セラミックコンデンサと同じく周波数特性が良いので高周波のノイズ除去などに使われることが多い。また、電力が微小な箇所ではエネルギーをため込む用途で使う場合もある。

 

電解コンデンサ

P_20170611_144117

上の2種類のコンデンサに比べて大容量であることが特徴である。主に電圧変動(周波数が低いが大きな振れ幅を持つノイズと考えてもよい)を抑えるときや、ある程度の大きさのエネルギーをため込むときに用いられる。周波数特性が悪いため高周波ノイズを取り除くことはできない。(容量が必要かつノイズ対策が必要な場合、電解コンデンサに並列に積層セラミックコンデンサを挿入する)また、極性を持っているので注意が必要である。

 

ソリッドコンデンサ

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電解コンデンサと同じような用途で用いられる。(電解コンデンサの一種ともいえる)電解コンデンサは内部に液体を持っているがソリッドコンデンサは個体のみで構成されているため液漏れの心配がない。そのため寿命が長いのでパソコンのマザーボードなど信頼性が要求される場所に多く使われている。あくまで電解コンデンサの一種であるので極性は持っている

 

基本的にデジタル系やパワー系の電子回路では主にこの4つのコンデンサが使われることが多いです。他にはフィルムコンデンサ(主にオーディオなどのアナログ回路)とか電気二重層コンデンサ(電力をためる用)とかタンタルコンデンサ(電解コンデンサの一種で高周波特性が少し改善されている)とか可変コンデンサ(ラジオの周波数切り替えで使うやつ)とかあります。 アナログ回路ならコンデンサもいろいろ大事ですが、デジタル回路では、ことが足りることが多いです。

 

インダクタの種類

コイルはインダクタとも呼ばれますが、種類と言っても巻き方とか巻き線の太さとか中のコアの差ぐらいしかないので省略します。

 

コンデンサ・インダクタの容量の読み方

基本的に電解コンデンサなど大型のコンデンサは直接容量・耐圧が書かれていますが、セラミックコンデンサや積層セラミックコンデンサなど小型のコンデンサは3桁の数字で書かれているものが多いです。ここではその3桁の数字(一部容量は2)の読み方を紹介します。なお、チップのコンデンサなど何も書かれていないコンデンサはどう頑張っても読めないので、テスターなどで測定してください。

2桁表記のセラミックコンデンサは2けたの数字そのものが容量で単位は[pF]となっております。

3桁書かれているタイプのセラミックコンデンサは抵抗器と同じ読み方をします。上の2桁が値で下の1桁が桁となっています。(誤差はなし)

 

セラミックコンデンサの読み方の例

コンデンサ

左の場合は22[pF]とそのままです。右の場合は10×10^4 [pF] = 0.1[μF]となります。

インダクタについては、きちんと容量を書いているタイプもありますが書いていないタイプもあります。書いているタイプはたいてい容量がそのまま書かれていて単位は[μH]です。

 

コンデンサ・インダクタの図記号

 図記号コンデンサ


左から電解コンデンサ以外のコンデンサ、電解コンデンサ、インダクタの順番です。なお、可変コンデンサの場合は記号中に「矢印」追加されます、

 

コンデンサ・インダクタの用途

コンデンサ

・整流回路における電圧安定化

・高周波ノイズの除去(ハイパスフィルター)

・エネルギー貯蔵

・ローパスフィルター

 

インダクタ

・高周波ノイズの除去

・エネルギー貯蔵

・ハイパスフィルター

 

簡単に用途を出すとこのような感じになります。なお、コンデンサとインダクタで同じ用途で使われているものがありますが回路への接続方法が全く違うので注意が必要です。

コンデンサはノイズの除去やエネルギー貯蔵をする際には信号や電源ラインとGNDの間(並列)に挿入しますが、インダクタの場合は信号や電源ラインに割り込む形(つまり直列)に接続します。一般に電子回路ではコンデンサでノイズ除去を行うことが多いです。エネルギーを蓄える用途は回路によってどちらを使うかが変わってきます。

 

コンデンサ・インダクタの動作

コンデンサやインダクタはエネルギーをため込む素子です。エネルギーをため込むということで、電気を流し始めた時とずっと流しているときでは流れる電流や素子にかかる電圧などが全然違います。コンデンサやインダクタが関連する回路の周辺回路の設計では初期状態と時間がたった状態(一般に定常状態という)の両方の状態を考慮して計算しなければなりません。

まずは単体のコンデンサにある電圧を印加した時にコンデンサに流れる電流を表したグラフです。


コンデンサ過渡1

電源が無限大の電流を流すことが可能だとこのような感じのグラフになってしまいます。コンデンサは電圧をかけた瞬間理論上は無限大の電流を流してしまうのです。そして、無限大の電流が流れた瞬間のあとには電流は0になってしまいます。言い換えると電源を入れた瞬間にコンデンサに蓄えることのできるエネルギ(電荷)を限界まで蓄えてしまいこれ以上入らない状態になります。エネルギーがこれ以上入らない状態だと電流はもう流すことはできないということです。

つまり、コンデンサを含む回路の設計をするときはコンデンサの抵抗が0であった場合と無限大であった場合の両方を考える必要があるというわけです。ただ、無限大の電流が流れるというのはあくまで理論上の話で実際には電源のインピーダンスとか配線の抵抗で流れる電流の制限がかかってしまいます。ですので、何回もON/OFFを繰り返すような回路でなく、コンデンサの容量が小さい場合や電源インピーダンスがある程度ある場合などでは抵抗が0の場合を考えずに設計をする場合もあります。

電源の内部インピーダンスを考慮した場合や電流制限抵抗を取り付けた場合のコンデンサに加わる電流電圧の関係のグラフを載せておきます。

コンデンサ過渡2
コンデンサ過渡3

実用的な回路では大体このような感じの電流電圧波形となります。感覚としてはスマホの充電で考えるとよいかもしれません。0%から60%くらいまでは結構な速度で充電されて(電圧上昇が速い)本体やアダプタも熱くなる(多くの電流が流れる)けど100%に近いところではなかなか充電が進まず本体やアダプタも熱くならないというのとほぼ同じです。

 

次にインダクタの場合を考えます。コンデンサでは電圧を印加した時に流れる電流を考えましたが、インダクタでは電流を流した時に発生する電圧で考えます。回路に挿入するときに直列接続するためです。

電流を流し始めた時に加わる電圧のグラフはこのようになります。

インダクタ過渡1

コンデンサに電圧をかけた時に流れる電流の波形と形が全く同じです。電流を流し始めた瞬間にインダクタに磁気エネルギーが完全にたまりそのあとはエネルギーが入らない、つまり電圧が発生しないということです。要するに、電流を流し始めた瞬間は抵抗が無限大でそのあとは抵抗が0になるというわけです。

続いて、実用的な回路でのグラフです

インダクタ過渡2
インダクタ過渡3

実用的な回路では入力を電圧としています。なお、インダクタ単体に電圧を加えると、一瞬でショート状態となり電流は無限大になって回路が破損しますので禁止事項になります。

 

コンデンサ・インダクタの原理

なぜ、コンデンサやインダクタを使った回路がノイズ除去とか電圧安定化とかローパス・ハイパスフィルターの動作をするのかってことを説明したいと思います。

ノイズとか電圧変動を単独で見ると直流ではなく交流とみることができます。今回はこれがミソとなります。

交流回路におけるコンデンサとインダクタのインピーダンスは

f:交流の周波数

C:コンデンサの容量

L:インダクタの容量

として

印ピーンダンス式

と定義されます。Zcがコンデンサのインピーダンス、Zlがインダクタのインピーダンスです。今回説明するのは一般的にノイズ除去に使われるコンデンサのみとします。

定義式よりコンデンサは周波数が高いとインピーダンスが低くなることがわかります。つまりコンデンサは周波数の高い成分ほど通しやすいということです。ここでノイズと電圧変動を簡単に表したグラフを見てみましょう。


成分

このグラフでオレンジで囲った部分を大まかにみると周波数の低い交流のように見えます。今回はこれを電圧変動と言います。それに対して青で囲った部分は細かな振動をしており、周波数の高い交流とみることができます。これを今回はノイズとおきます。

ここで定義式を見てみましょう。周波数の高い成分は小さな容量のコンデンサでも通してしまいます。つまり信号線や電源線とGNDの間に容量の小さいコンデンサを入れれば、周波数の高い交流成分はGNDに流れてしまいますこれによってノイズが消えると言えます。次に周波数の低い成分である電圧変動を流すには定義式より大きな容量のコンデンサを入れればよいです。つまり、容量の大きなコンデンサを電源線とGNDの間に入れれば電圧変動をGNDに流され電圧は安定するということです。

 

ハイパスフィルターやローパスフィルターも同様の数式で計算します高周波成分のみを通過させて出力先に流すのがローパスフィルター、高周波成分のみをGNDに流して出力先には低周波成分のみを流すのがローパスフィルターということです。


回路編 第2回 抵抗器

電子部品の細かな話の第1回目は抵抗器です。

抵抗器というと内部に電気抵抗を持っているだけの電子部品ですが、使い方は本当にいろいろあります。使い方によって同じ部品で済む場合もあれば、違う部品を使う場合もあります。

 

抵抗器の種類

カーボン抵抗

P_20170611_000147

一般的に電子回路で使う抵抗と言えばこのカーボン抵抗です。炭素を抵抗体とした抵抗器で安くてそこそこの精度を持った抵抗器です。

 

金属皮膜抵抗

カーボン抵抗では要求される精度を満たせないくらい精密な抵抗値が必要な場合に使う抵抗器です。カーボン抵抗よりは価格がちょっと高いかなと。

 

酸化金属皮膜抵抗

カーボン抵抗では電力が足りないときに使う抵抗。小型で比較的大きな電力を扱えるというのが特徴です。

 

チップ抵抗

細かな場所に回路を押し込みたい時などに使う抵抗器。基板の表面に実装できるのでコンパクトになりますが、はんだ付けがしにくいので趣味で使う分にはあまり使わないかなあと。抵抗体は金属皮膜抵抗と同じはずです。

セメント抵抗

 酸化金属皮膜抵抗をセメントで固めたもの。放熱性が高くなるので、大電力を扱えます。

 

電子回路で使う抵抗値固定の抵抗器は大体この5種類あれば十分かなと思います。

 

他には巻線抵抗器や大電力に耐えるホウロウ抵抗器とかメタルクラッド抵抗器とかありますがパワーのある回路を除き、電子回路レベルで使うことはあまりないです。

 

抵抗値固定でない抵抗器

可変抵抗

P_20170611_195206

つまみを回すことで抵抗値を変えることができる部品。基本的には3ピンの部品両端の2ピン間は可変抵抗記載の抵抗値で固定されており、中央のピンと両端のどちらかのピンの間の抵抗値が0から可変抵抗に記載の抵抗値の間で変わります。両端を電源とGNDにつなぐと分圧の原理で回転角度のセンサとして使えます抵抗値の変わり方には複数の種類がありAカーブ、Bカーブ、Cカーブって呼ばれています。基本的には線形的に抵抗値が変わるBカーブが使われます。Aカーブはオーディオのボリュームに使われますが、Cカーブはあまり使われないと思います。

 

半固定抵抗

P_20170611_200100

可変抵抗のつまみがないバージョンでドライバーなどを使って回すことで抵抗値を変更します。調整は必要なものの、値を変更することが少ない箇所に使います。カーブはBカーブのみです。

 

抵抗値の読み方

抵抗器は大型ものやチップ型のものでは数字で抵抗値が書いていますがたいていの抵抗器は色で抵抗値が示されています。その色の意味と抵抗値の読み方を説明します。

まずは抵抗器の色の意味を下の表でご覧ください。

抵抗値

初めにこの表で色を数字に変換します。

続いて出て来た数字を抵抗値に変換するのですがそれぞれの桁に意味があるので下の図をご覧ください。

抵抗

この図では3.3kΩの抵抗器の意味を示しています。読み方は図の左から10の位 1の位 桁数 精度となっており、桁数と精度の間は他のラインの間隔よりも広くなっています。

これより10の位と1の位を合わせて33 桁は10^2 精度は±5と読めます。これを合わせると 33×10^2 = 3300 = 3.3kΩ ±5%と読めますね。

 

回路図の図記号

下の図の通りですが左のギザギザの方が古い書き方で右の四角の方が新しい書き方です。JISの観点からいうと、右の四角の表記の方がいいのですが、昔からの名残で左のギザギザを使うこともよくあります。

抵抗図

 

抵抗器の用途

電流制限

LEDFETIGBTのゲートなどに流れる電流を制限して、LEDの過電流による破損防止や、FETIGBTのスイッチング速度調整を目的として取り付ける。

分圧

マイコンの入力モード時などの入力インピーダンスが高い電子部品に電源とグランドの間の任意の電圧を印加したい場合に使用します。回路構成は電源とグランドの間に2本以上の抵抗器を入れたものとなっています。それらの抵抗値の値により分圧により出力される電圧が変わります。詳細は後半の設計の章で紹介します。

ヒーター

抵抗器に電流を流すことで電力を消費させ、その発熱を利用したものです。おもにストーブなどの熱を取り出すことを目的とした使い方。

電力消費

基本的にヒーターと同じであるが、熱を目的とするのではなく、回路内で発生した電力を熱に変換して消費させるのが目的。電車では発電ブレーキや抑速ブレーキで発電した電力を消費する際に使用される。

プルアップ・プルダウン抵抗

スイッチのみをマイコン入力に接続すると正しくスイッチの状態を読み込めない問題を解決するために使用される。詳細は後半で紹介します。

 

各用途での設計法

抵抗器のパラメータ設計では基本的にはオームの法則と電力の計算式さえ知っていればなんでも計算ができます。

オームの法則

V:電圧[V]

I:電流[A]

R:抵抗[Ω]

として

V=IR

 

電力の計算式

P:電力[W]

I:電流[A]

V:電圧[V]

として

P=IV


 

電流制限の設計法

オームの法則をそのまま使って計算を行いますが注意点があります。それは計算で使用する電圧のパラメータが「抵抗器に加わる電圧」であることです。

以下のように計算を行います。

Vr:抵抗器に加わる電圧[V]

I:電流[A]

R:抵抗[Ω]

として

Vr=IR

この式を抵抗値基準にすると以下のようになります。
キャプチャ

例としてLEDに流れる電流制限の計算をしてみます。

LED適正電流If10[mA] 順方向電圧Vf1.0[V] 電源電圧V5.0[V]とした場合のLEDの電流制限抵抗の計算をしてみます。

式2-1

抵抗値は抵抗器に加わる電圧を基準に計算するので、電源電圧からLEDの順方向電圧を引いたものを電流で割った式になります。この式で計算をするとLEDの電流制限抵抗の値は400[Ω]となりました。しかし、計算で出た値の抵抗値がそのまま販売されているとは限りません。というか基本的にはないことが多いです。そのため計算した値より大きい側で販売されている抵抗値を使用します。秋月のサイトで400Ω以上の抵抗値で最も低い抵抗値を探すと470Ωがあるので今回の場合この470Ωを使用すればよいです。

 

これで、抵抗値が決定されましたが、もう一つ計算しなければならない個所があります。それは抵抗器での損失による消費電力です。電子回路の小信号部ではほとんど考慮する必要はありませんが比較的大きな電力を抵抗器で消費する場合この計算が必要です

例えば、抵抗器にかかる電圧が20[V] 電流が0.1[A]だった場合抵抗器での消費電力

P = 20[V]×0.1[A]=2[W]

となります。したがってこの場合抵抗器の許容電力が2[W]以上のものを使わなければなりません。

しかし、先ほどのLEDの電流制限のような低消費電力の回路の場合4.0[V] 10[mA]が抵抗器で消費されており、電力を計算すると 0.04[W]となることがわかります。この場合は一般的に販売されている1/4[W]の抵抗器を安心して使うことができます。

 

分圧

分圧の設計もオーム法則をそのまま使用できます。

分圧回路の回路図は下の図のような回路です。

分圧

ここで、VccからGND間に流れる電流Iオームの法則により

I= Vcc/(R1+R2)

となります。

次にVoutの電圧を電流Iを用いて表す

Vout = I×R2

となり

式2-2

となりR1R2の抵抗値の比率により出力電圧を変化させることが可能です

例えば、電源電圧5V4Vを出力したい時はR11kΩとして

式2-3

と計算することができます。

この原理を応用すると可変抵抗を使った角度センサーが作れます。

 

ヒーター、電力消費の設計法

電力を抵抗器で消費させる場合は以下の式で計算できます。

P=I^2×R=(V^2)/R

 

例えば100[V]1000[W]のヒーターを設計したい場合は

式2-4

となります。

 

プルアップ・プルダウン抵抗の設計法

考え方としては分圧の考えの応用です。

下の図の左がプルダウン、右がプルアップです。

プルアップ

説明はプルダウン抵抗の方で説明を行います。

プルダウン抵抗の方で説明を行います。

SWが開いているとき、スイッチが押されていないとき(A接点の場合)SWの抵抗値を無限大と考えます。

これを分圧の式で計算すると

Vout = Vcc×(R/+R) 0[V]

となります。

これより、スイッチが開いているときは0[V]が出力されることがわかります。

逆にスイッチが閉じている、つまり押されている(A接点の場合)ときは、SW0[Ω]と考えることができます。

Vout= Vcc×(R/R+0)=Vcc

よって、スイッチが閉じているときは電源の電圧がそのまま出力されることがわかりますね。

プルアップの場合はVccGNDが入れ替わってるだけで、同じように考えればスイッチが開いているときにVccが出力され閉じているときは0[V]が出力されることが明らかですね。

最後に、Rの抵抗値ですが基本的には1~10[kΩ]程度の抵抗値を使うのが一般的です。それ以下だと電流が流れすぎてエネルギーの無駄使い、大きいとハイインピーダンスとなり正しく動作しない可能性があります

回路編 第1回 電子部品の概要

このブログの名前「基本から始めるVVVFの作り方」って名前のとおり電子回路をほとんど触ったことがない人にもわかるように本当の基礎の基礎から電子回路について紹介をしていきたいと思います。ただし、電子回路に興味がない人はそっとブラウザを閉じてください。後半では高電圧を扱うので危険です。危険な回路を扱うのに興味がないなんて論外ですので…

 

電子回路のキソってことでまずは電子部品にどういうものがあるかってことを紹介していきたいと思います。

各部品の詳細はまた個別の記事にしますので…


抵抗器
P_20170611_000147

言わずと知れた電子回路では必須の部品。内部に正確な抵抗を持った電子部品です。電流制限とか分圧とか様々な使い方がありますね。写真は電子回路でよく使うカーボン抵抗です。ほかにも流せる電流の大きさに応じていろいろな抵抗器がありますがそれはまた次回

 

コンデンサ
P_20170611_144117

これも電子回路では必須の部品。内部に電気エネルギーを蓄えることができる部品ですね。

VVVFでは電力の平滑化とかノイズの除去とかに使います。使い方によっては簡単なタイマーとしても使えたりします。原理とか使い方の詳細はまた次回以降で

 

コイル
P_20170611_144536
電子部品の中の受動デバイスの
3つのうちの1つだけどちょっと地味であんまり使われない部品。電子回路で使うというと昇圧系くらいかなあーと。これもコンデンサと同じでエネルギーをためたりノイズを除去したりできる部品です。電車ではチョッパー制御の主要部品に使われていたりVVVFのノイズを架線に戻さないために使われていたりしますね

 

 

ダイオード
P_20170611_141340

端的に言うと電気を一定方向のみに流す部品。だけど、半導体の原理を応用して一定電圧を保つために使われたりいろいろな派生部品があります。

 

LED
P_20170611_144855

最近は省エネ対策で電球とか蛍光灯をLED変える動きがあるのでおそらく聞いたことないってことはないでしょう。電球は基本的に抵抗器でそこから出る熱を光に変えているのに対してLEDは電力を直接光に変えているので効率が良いというわけです。電子回路的にはダイオードの一種ですが、流せる電流とかに制限が厳しいので抵抗器で電流制限をしなければなりません。

 

トランジスタ
P_20170611_150615

アナログ回路では電流を増幅する部品として使われてデジタル回路ではスイッチとして使われる部品。VVVFでは主素子を動かすための部品に使われると程度かなと…とはいえ、初期のVVVFでは大電力に対応したパワートランジスタが使われていたりします。電子回路で使われるイメージとは違うけど、後で出てくるFETとかIGBTに比べるとパワー素子としては大電流に対応できるんですよね…

 

FET
P_20161110_180939

主にスイッチの代わりとして使われる電子部品。一応アナログ回路でも使えるはずですがあまり使わないと思われ…上のトランジスタと用途は似ていますが動作原理が違います。最近だと材料をSicにしたSic-MOSFETを使用したVVVFの電車が徐々に出てきていますね。

 

IGBT

鉄道オタクなら高確率で名前は聞いたことがあるであろう、スイッチング素子です。上のFETの大電力版として基本的に使われています。内部の構造的にはFETとパワートランジスタを組み合わせたものです。

 

サイリスタ

電子回路ではほぼほぼ使うことがないと思われる部品。これもスイッチング素子ですが特徴は他の素子に比べて大電力に耐えることです。ただし、基本のサイリスタは一度スイッチを入れるとメインの電流を切らない限り電流が流れ続けるので使いにくいです。対策としてGTOサイリスタがあってこれは電車のVVVFでも使われていた部品ですね。

 

リレー
P_20170611_144342
上の4つの半導体のスイッチと異なりこれは電磁石で動く普通のスイッチです。なので、動作も遅いしノイズも出たりします。ですが、ただのスイッチなので電流制限はあれど損失が少ないので定格以上の電力を流してもある程度耐えます。あまり、電車だと似た感じの部品である電磁接触器が使われていますね

 

標準ロジックIC
P_20170611_144526

ICの中でも電子回路で比較的よく使う論理回路などの機能が入っているIC。回路的に動いているものなので各ICの種類ごとに決められた動作しかしません…しかし、あとで紹介するマイコンに比べて動作が速い、消費電力が少ない、安いなどの利点もあります。動作を変更しない個所に使えば最適ですね

 

マイコン
P_20170611_141317

最近の電子工作では使う確率が非常に高くなった部品です。中に書き込むプログラムに応じて動作を変えられるほか、回路で処理すると非常に複雑になることも楽々と処理してくれます。PICとかAVRH8などの単体マイコンのほかにArduinoなどのマイコンボードもあり初心者でも触りやすい時代になりました。

 

オペアンプ
P_20170611_145208

演算増幅器ともいう非常に高性能な増幅器。理想的なオペアンプでは入力のインピーダンスが無限大で出力のインピーダンスが0、増幅度が無限大などの特性をもつ夢のような増幅器。後ほど紹介するセンサーの信号を増幅する際などに使われるほか、演算処理もできます。

 

定電圧レギュレータ
P_20170611_145608

安定した電圧の電源がほしいときに使う部品で、入力された電圧を一定の電圧に変換して出力する。ただし、入力電圧 > 出力電圧+2V 程度にする必要があり、電圧の差は熱として出力されるので効率が悪いです。

 

 

スイッチングレギュレータ

定電圧レギュレータでは電圧の差を熱として放出したが、これは熱として出さずにスイッチングをして電圧を上げたり下げたりします。効率は良い分、回路が複雑で高価です。

 

ヒューズ
P_20170611_150956

言わずと知れた回路保護の部品。回路に一定以上の負荷がかかると電源を遮断します。電流で切れるものや温度で切れるものなどたくさんの種類があります。また、ポリスイッチと呼ばれる自動で復帰するタイプのものもあります。

 

センサー

回路が周りの状態を識別するために使用する部品。温度センサーや電流センサー、光センサーなどたくさんの種類がある。

 

フォトカプラ
P_20170611_141429

LEDと光センサーを組み合わせた部品。入力側と出力側の間は光でやり取りされているので完全に絶縁されています。主に回路保護で使用されています。VVVFでも論理部とパワー部の分離で使用予定です。

 

水晶
P_20170611_144638

内部に水晶が入っており電圧を加えると一定の周波数の信号の出力がされます。マイコンで時間を測るための部品です。

 

コネクタ
P_20170611_144104

回路と電線、電線と電線、回路と回路などをつなぐための部品。

 

ソケット
P_20170611_144352

ICなどの部品を基板に取り付けるための部品。直接はんだ付けすると取り外しできないがソケットを介すと取り外しを行いやすくなります。

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