モータの鳴らし方byHanDen

電子工作の初心者がモータを演奏したりVVVF音を再現したりする方法を紹介するブログ ホビー向けの電子工作を基礎から書いていきます 記事のミス等のお問い合わせはTwitterにてお願いします。 当ブログを参考に製作をする際は必ず自己責任にて行ってください 当ブログを参考にしたことによる損害等の責任は一切負いません ドメイン取得につきURLを http://vvvf.blog.jp から http://blog.henden.net に変更しました

2017年12月

制御編 第1回  マイコンのハードウェア

前回まではハードウェアの設計のお話でしたが、今回からはVVVFや音楽を奏でるうえで必要なマイコンのお話をしたいと思います。

一言にマイコンと言っても実はいろいろな種類のマイコンがあります。一般的に知られているマイコン(ボード)といえばArduinoRaspberry Piなどがあります。両方ともデジタル入出力やシリアル通信などの低レベルなIO端子が搭載されていますが、この2つには大きな違いがあります。前者のArduinoはいわいる狭い意味でのマイコンで、後者はOSが入った小型のパソコンです。そのためそれぞれに得意不得意な処理があります。まずはその2つの系統の違いを紹介します。

 

Arduino系統

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・基本的にOSを持たない。持っていたとしても非常に簡素なものである

・時間関係の処理の精度が比較的高い。

・コンパイルは外部で行ったうえで書きこむ。

・計算速度は比較的遅い。

 

Raspberry Pi 系統

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・パソコンのように内部に高機能なOSを持つ。

・ほかの処理などにより時間関連の精度が低い。(OSによっては正確に処理できるものもある)

・本体でプログラムを書きコンパイルすることも可能。

・計算速度は比較的早い。

 

主な違いはこのようなところです。Arduinoの系統のマイコンは、モータ駆動回路など機械に近い部位に、Raspberry Pi 系統のマイコンは画像処理などの比較的重たい処理に向いているといえるでしょう。筆者はモータを演奏するのがメインであるためマイコンはArduinoの系統のものを使います。なのでここからのお話はArduino系統の狭い意味でのマイコンの方の話をしていきたいと思います。

 

狭い意味でのマイコンとしてArduino系統と書きましたが、実はこの中にもいろいろな種類のマイコンがあります。その中でもまずはマイコンボードとマイコンの区別をしたいと思います。

マイコン

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AVRPICH8そしてARMなどマイコンのチップ単独のものである

実際に使用するには周辺回路を設計する必要があるほか、書き込み回路や開発環境などを別に用意しなければならない

またレジスタを叩く必要があるなどプログラムの難易度も比較的高い

石だけなので安いため大量生産する場合に向いている

 

マイコンボード

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Arduinombedなどマイコンとその周辺回路が1枚の基板上に乗せられて販売されているのもの

書き込み回路が内蔵されていることが多くUSB接続などで直接書き込める。また開発環境もマイコンボードを作っているメーカーが用意してくれていることが多い

レジスタを叩かずに済む場合が多くプログラムの難易度も低いことが多い

初心者や試作に向いている

 

マイコンとマイコンボードの違いはこのような感じです。

マイコンボードで最も一般的に使われているのはArduinoで情報量やライブラリも充実していて非常に使いやすいマイコンボードと言えます。しかし、性能があまり高くないといった問題やPWM周波数が固定などモータ演奏に使うにはちょっと難があったりもします。

逆に近年はやり始めたmbedESP32などのARM系のCPUを搭載したマイコンは性能が高いという利点がありますが、情報量が少ないという問題があります。ちなみにmbedの場合はPWMの周波数を任意に変えれるようです。最近はArduinoでもARMCPUを搭載したものも出てきていますが、現状あまり普及してるとはいいがたいですね…

 

個人で基板を1枚のみ作って楽しむ場合はマイコンボードを使うと安価で楽ですが、自作の基板とのドッキングが難しくなるという問題もあります。そのため自作の基板に直接マイコンを乗せて周辺回路まで構成するということもよくありますAVRマイコンを使う場合はマイコン内部にArduinoのプログラム(ブートローダ)を入れると自作のArduinoとして使うこともできてしまいます。筆者のstepVVVFArduino Uno互換の設計をしています。

 ここまではマイコンの一般的なお話をしてきましたが、ここからは筆者がモータ演奏や初版のVVVFに使用しているAVRマイコンとその拡張である自作のArduinoのお話をしたいと思います。

まずはマイコンのハードウェアの設計のお話をしたいと思います。

今回は筆者が実際にstepVVVFに使用したatmega328Pを例にして話をしたいと思います。

まずはatmega328Pのデータシートを

https://avr.jp/user/DS/PDF/mega328P.pdf

そして、ハードウェア設計に必要なピン接続図はこちらです。

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マイコンのハードウェア設計のうち基本回路についてはデータシートで決められたとおりに接続しなければなりません。最初にマイコンの端子とそれに対応する機能の紹介をしたいと思います。

まずは全体に共通する標準IOと外部割込み(PCINT)のお話から

各端子のピン番号のすぐ横にPB〇、PC〇、PD〇という番号があります。これがマイコンの基本的な入出力(HIGHLOWの入出力)である標準IOのポート番号と言われるものです。PBはマイコンのPORTBPCはマイコンのPORTCといったように内部的にいくつかの組に分けられており、プログラムではこのPORTごとに制御を行います。そのため、同時に操作する必要のある出力は同じポートにまとめておくとプログラムが書きやすくなります。

 

次に外部割込みPCINT)のお話です。Atmega328PではすべてのIOポートにPCINT〇〇という表記があります。これは外部割込みというピンの状態が変化したときに、動作を始めるマイコンの機能が使える端子を示しています。ただしPCINTは端子ごとに個別に割り込みを設定することができません。個別の割り込みはのちに紹介するINT〇を使わなければなりません。

 

続いてPWM出力のポートのお話です。マイコンにはPWMと呼ばれるONOFFを高速で繰り返して疑似的なアナログ信号を作り出すPWM出力と呼ばれる機能が搭載されています。この機能が搭載されているのはOCR〇□(〇には1~3の数字、四角にはAB 例:OCR0A)と書かかれている端子です。Atmega328Pの場合はピン番号が5,11,12,15,16,17の端子にこの機能が搭載されています。そしてOCR〇□のうち〇の部分に書かれた数字がタイマー番号を示していて、このタイマー番号ごとに周波数などを設定することができます。いろいろな都合上同じモータの正逆は同じ番号のポートからとると良いです。ちなみに、このONOFFを繰り返す速度を変えることで音楽を奏でることができるのです。

 

ここからは端子ごとの個別の機能を紹介していきます。

ピン番号1 この端子はマイコンのリセット機能をもつ端子です。通常の設定ではこの端子にLOWを入力するとマイコンがリセットされます。基本的に10kΩでプルアップしておきます。

ピン番号2,3 この端子はシリアル通信の機能を持っています。シリアル通信を使用するときは2番ピンが受信側、3番ピンが送信側になります。回路を設計するときにはRX,TX(受信,送信)の向きに注意してください。くれぐれもマイコンやシリアル変換アダプタのRX同士やTX同士を接続しないように…

ピン番号 4,5 この端子は個別の外部割込みの機能を持つ端子です。PCINTと違いピンごとに別々の割り込みとして処理できるほか、PCINTに比べて選べるモードが多かったりします。

ピン番号 9,10 この端子は外部クロックである水晶やセラロックを接続するポートです。マイコン内部にもクロック発生器は入ってますが遅いので、Arduionでは外部クロックとして16MHzの水晶を取り付けています。水晶を取り付ける場合は22pF程度のセラミックコンデンサも取り付けないと発振しないので気を付けなければなりません。

ピン番号 12,13 この端子はアナログ比較器機能を持っています。12,13番ピン入力電圧を比較して、条件が整った場合に割り込みが実行されます。

ピン番号 16,17,18,19 この端子はSPI通信の機能を持っています。SPI通信を使用するときはSS,MOSI,MISO,SCKの各端子に接続します。またAVRマイコンに書き込みを行うときもこのSPI端子を使用します。

ピン番号21 AREF この後に示すアナログ入力の基準となる電圧を設定するピンです。特に理由がない限りVCCに接続します。

ピン番号2328 アナログ入力 A/D変換機を通してアナログ電圧を識別できる端子です。プルグラムはAREF端子と同じ電圧が印可されたときに最大値(通常1023)、0Vが入力されたときに最小値(0)を読み取ります。

ピン番号 27,28 この端子はI2C通信機能を持っています。I2C通信を使用するときはSDA,SCL端子にそれぞれ接続します。ただしI2Cは規格上プルアップ抵抗が必須なので注意が必要です。

 

以上がマイコンの各端子の持っている機能の簡単な説明です。細かな説明はプログラムの時に紹介します。以上のことを考慮して回路の設計を行ってください。例として筆者の製作したステッピングモータやケースファンを演奏するstepVVVFの基板を紹介します。

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この基板はタイマー02の端子にそれぞれモータを接続して、PB1,2PD7,8にデバッグ用のLED、そしてモータの出力停止をPC0~3,センサの入力をADC4,5に接続しています。また、この基板は数珠つなぎをするためシリアル通信はRXのみ接続して、TXはソフトウェアシリアルを使用するためにPD2にしています。

大体こんな感じに接続すれば使えます。

 

ハードウェア設計の最後にマイコンへの書き込み回路の紹介をします。

まずは通常のAVRマイコンの書き込み方法です。

通常AVRマイコンの書き込みにはSPI通信を使ったICSPと呼ばれる方法でマイコンに書き込みを行います。ピンヘッダーに以下のように接続を行うと書き込み回路の完成です。

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次にArduinoとして書き込みを行うときの配線です。

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基本的にはこのように配線を行います。注意しなければならないのはDTRピンが0.1uFのコンデンサを介してマイコンのResetピンに接続されていることです。

最後に通常のAVRArduinoの両方のモードの書き込みに対応した、書き込み専用基板の回路図を紹介します。

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電源は書き込み用の変換基板から供給されるので省略しています。構造としてはマイコンが動作するために必要な電源端子への接続と、水晶を接続したうえで、マイコンから書き込みに必要な端子を引き出して使用しているだけの簡単な回路となっています。

製作日記2 ステッピングモータで音楽を鳴らしてみた3

前回までで子機側のプログラムが完成したので、次はマスター側のプログラムです。
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マスター側のプログラムは基本的にはこれだけです。基板側のプログラムの逆の処理を行っているだけですね。また、あらかじめsetup関数内でシリアル通信の起動である「Serial2.begin(19200)」を実行しています。
使い方は、serialSent関数を第1引数に送り先のID、第2引数に周波数を入れて実行するだけです。また、音を止めるときは周波数に0を入れます。

これを音楽の分、ひたすら書くと音楽が完成ですが、書くのがあまりに大変なので、Midiファイルを読み込めるライブラリなどを使用すれば多少楽になると思います。

 

そして、そのあと格安で基板を製造できる業者を発見したので、チェナーダイオードとゲートドライバ電源の瞬停対策用のコンデンサを取り付けた基板を作り直しました。
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そして届いた基板がこんなかんじ
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安いのになかなかきれいにできました。

 

本当は実装したいのですが、部品が届かないのでケースファンを演奏してみることに

プログラムをこんな感じに書き換えて、1枚の基板で2つのケースファンを演奏できるようにします。

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これが初期設定などです。ケースファンを演奏する場合は出力ピンのPWM機能を利用します。そしてその周波数を変更することで音楽にします。今回は8bitタイマーの位相基準PWMを使用しました。

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これがPWMの周波数を設定する関数です。16bitタイマーに比べると出せる周波数の範囲が狭くなり、精度も悪化してしまいます。

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これが、通信部分です。モータごとにIDを振っておき、IDの種類によって無視かどちらのモータのデータであるかの判別を行っています。

 

このプログラムでケースファンを演奏するとちゃんと演奏することはできました。ただ、まだ動画を撮れていないので動画は後日紹介します。

製作日記2 ステッピングモータで音楽を鳴らしてみた2

基板が完成したので、今回も最初は直流モータで実験。

プリンタ用のモータでは問題がなかったので、540モータでも実験を継続。しばらくは問題なく動いていました。ところが…調子にのって回していてうっかり出力をショートさせてしまい、動かなくなってしまったのです… 

その状態でしばらく通電しているとゲートドライバが異常発熱していることが判明。なのでとりあえず、ショートしたFETにつながる2つのゲートドライバを交換して、出力が出ていることを確認してから再度、モータを回します。

瞬間だけ動くような気がしたものの、動かない… もしかして、のこりの2つのゲトドラが悪さしている?とか考えて全部交換してもやっぱりだめ。ああやこうやしているうちにゲトドラの死骸が増えていきます…
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しばらくして、ようやく原因っぽいものが判明。それは「モータからのサージ」なのです。実はこの時、電源の個数を減らすためにモータ駆動用とゲート駆動用の電源を一緒にしていたので、モータからのサージがゲートドライバに流れてしまうというものでした…

とりあえず、電源を分離して実験開始。あっさり問題なく動作しました。

 

ということで、今度はステッピングモータを回すプログラムを作成。

とりあえずは、通信なしてArduinoを使ってプログラミングをします。

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汚いけど、一応ソースコードです。上の方で、モータの励磁ピンの配列を作成しておき、励磁のプログラムを書きやすくしています。そして、残りは音階の定義ですね。

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続いて、初期設定と音階の設定のプログラムです。Arduinoじゃない何かが大量に混入しているとか気にしない… AVRのレジスタを叩けば軽量化した上に、処理が簡単なので…

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次がステッピングを演奏するコアの部分です。周波数を入力すると、その周波数の音を奏でているのです。マイコンのタイマー割り込みの機能を使うことで、こんなにも簡単に書けます。ちなみに、このプログラムはレジスタを叩かなければ書けません!

 

そして、音楽を入れて演奏…


だいたい、音楽にはなっているものの、時々変な挙動をしています…

しばらくは、ステッピングモータが起動するのに若干脱調しているのだと思い込んでいました…(実は後から別の原因だと気が付きます…

 

続いて、和音を鳴らすことができるように、ID指令式のシリアル通信を実装。

最初はArduinoで書いていたのですが、ちょっとめんどくさくなったので、Arduinoのシステムを捨てて、Atmel Studioでプログラムを書くことに変更しました。

AVRのマイコンを触る時はデータシートがないとわけがわからなくなるとおもうので、こちらを参考に(https://avr.jp/user/DS/PDF/mega328P.pdf

いろいろとマイコンの内部的なお話がいろいろと書かれています。細かいところを読んでいると結構面白いですが、難しいし量が多すぎるので、必要なところだけを読んでいます。

 

とりあえず、このデーターシートを読みながらプログラムを作成

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最初は定義とか読み込みです。Arduinoと違っていくつかincludeしなければならないものがあります。<util/interrupt.h>は割り込みを使用するヘッダーファイル、<util/delay.h>delayを使うヘッダーファイルです。Delayを使うにはCPUのクロック数を与えないといけないので、ここで宣言をしています。(delay.hを読み込む前にF_CPUで定義)

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ここでは、ピンの入出力の設定やタイマー割り込みの初期設定、シリアル通信の初期設定をしています。割り込みは種類がいくつかあるうちから、音楽を鳴らすのに最も適していそうな位相/周波数基準でOCR1ATOP値とした割り込みにしています。シリアル通信についてはArduinoと通信する関係で、通信速度以外この設定以外にはできません…

 
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次は、入力された周波数から、その周波数分のパルスを生成する割り込みの設定を行う関数です。OCR1AでタイマーのTOP値を変更することで、割り込みの周波数を自由に変更できるという、マイコンの機能を使用しています。また、OCR1Bの割り込みを併用してduty比を落とせるようにしています。
実は先ほどのArduinoの時はタイマーのTOP値をICR1にしていたのですが、データシートを読んでいると、周波数変更をする場合はOCR1AをTOP値にするべき、と書かれていたのです…さっきの音がおかしくなっていた原因はこれだったというわけです。

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そして、これがステッピングモータのパルスを生成するプログラムの実行部分です。割り込み処理を使うことで、ここまで簡単にパルス生成とduty比を下げるプログラムが書けてしまいます。

 
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そして、これが今回のメインである通信の処理部分です。シリアル通信のデータを受信すると、この割り込み処理が開始され、最初に受信データを読み込みます。その後、データの最上位bitを解析し、最上位bit1であればID信号を意味するので、ID受信のモードに入ります。受信したIDが自分のIDと同じであれば、続行のデータを受信できるようにします。そして、受信データのバッファーのクリアを行います。(配列を最初に戻す)

自分のID宛ての情報だった場合で最上位bit0であった場合は、バッファーにデータを蓄えていき、既定のデータ数に達すると、バッファーのデータから周波数を抜き取ります。最終的に、パルス生成の割り込みの設定の関数へ周波数を引き渡すことで、モータを演奏します。

 

汚いソースコードですが、このような感じで複数のモータを1つのシリアルで管理できるようにやってみました。マイコンの機能を有効に使えば、案外簡単にかけてしまうのです。

 

続きは次回

製作日記2 ステッピングモータで音楽を鳴らしてみた1

 前回は高電圧でいろいろと問題を起こしてしまったので、今回は低圧で音を奏でることが可能なステッピングモータを演奏することにしました。前回のVVVFでモータにかける電圧を上げると音量が大きくなることが分かったので、今回は30Vまで印可できる仕様に、そして電流も過電流に耐えるように、駆動部はICを使わずにディスクリートの部品を使うことにしました。そして、シリアル通信を使って、和音の再生も可能にして、音楽をよりきれいに再生できるように考えてみました。

 

 まずはシステムの構成から

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システムとしてはマスターのArduinoに音楽信号を保存するかPCから音楽のデータを受信し、その信号をマスターArduinoに接続されたstepVVVFID信号を合わせて送信します。自分と同じIDのデータを受信したstepVVVFは受信したデータから周波数を読み出し、その周波数で演奏を行います。IDを変えることで演奏先を変更できます。また、ゲート駆動用の電源は、駆動用の電源電圧が12V~14Vの時は接続を不要にしているため、12Vでステッピングモータを駆動させる時は配線が2本のみで済みとてもスッキリとしています。

 

まずは回路の設計を始めます。

前回はゲートドライバにIR2110を使いましたが、デッドタイム自動挿入機能がないという欠陥がありました。今回はRSで安くてかつ出力電流が大きめ、そしてデッドタイムの調整が可能という面白いゲートドライバ「L6384E」を使用することにしました。

ということで6384Eの英語のデータシートを端から端まで読んでみることに…

http://www.st.com/content/ccc/resource/technical/document/datasheet/group0/d3/35/0e/fc/db/e1/45/52/CD00169715/files/CD00169715.pdf/jcr:content/translations/en.CD00169715.pdf

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内部構造はこんな感じと… どうやらブートストラップダイオードは内蔵されていると… そして入力はプルダウンでSDはプルアップっぽくなっていると

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ピン配置はこんな感じで入力ロジックレベル的には、5Vあれば十分で、SD/DT端子に0.5V以下をかけると出力がシャットダウンされると。他は特に注意する点はなさそう

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SD/DT端子に接続する抵抗器の大きさでデッドタイムが設定できる模様。今回は250ns200nsの中間をとって100kΩにすることにしました。

そして最初は気が付かなかった個所が、その下で、Vccth1,2です。上の方の定格のところに電源電圧が0.3~14.6Vって書いていたので、この範囲なら動作するんやなあーと思っていて、電源の電圧を9Vにしたら動作が止まって??ってなって調べてみると、電源電圧が一定を下回ると自動的に出力がダウンされる機能がついていたことが判明したのです… (あとから考えれば内部の半導体が、電圧が低いと動かないとかゲート電圧が落ちるとMOSFETの発熱が増えることへの安全対策かなあと…)

そして、アプリケーションノート(http://www.st.com/content/ccc/resource/technical/document/application_note/5c/00/05/fd/e5/65/46/97/CD00004008.pdf/files/CD00004008.pdf/jcr:content/translations/en.CD00004008.pdf)を読んでいると、18ページくらいに周波数が低い時で大容量のコンデンサをつける場合は外付けのダイオードを取り付けることを推奨するみたいなことが書かれていたので、一応、ブートストラップダイオードは取り付けることにしました。(100Hzでの駆動を想定して、ゆとりを持たせるとコンデンサが10uFになったので…)

ゲート抵抗とかその辺は適当に選びます。フォトカプラは前回と同様にTLP785を使用しましたが、スイッチング速度改善のために、プルダウン抵抗を680Ωに変更しました。(本当は高速なフォトカプラを使うべきなのですが…)

マイコンにはArduinoUNOにも用いられているAtmega328Pを使い、周辺回路もArduino準拠にして、プログラムをArduinoでも書けるようにしました。また、デバッグ用のLED4つ、電流センサ等に使えるアナログ入力を2つ搭載しました。今回は複数基板を数珠つなぎにするので、シリアル通信は、RXは通常通り配線しますが、TXは並列接続できないので、適当なピンでソフトウェアシリアルにすることに…

MOSFETは秋月で1つ50円で売られていたEKI04027を採用。耐電流は放熱板なしで計算して、約24Aでした。普通のICのモジュールと値段が大して変わらないのにこの耐電流はすごい… おかげで540モータも演奏できることに ポリスイッチは12A遮断を2つ並列で24A遮断にしました。

そして出来上がった回路図がこちら

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続いて、プリント基板を設計

前回設計したstepVVVFは基板がスカスカであったのに、部品同士の干渉があるなどの不具合があったので今回は反省して部品同士が正しく取り付けられることを確認しながら設計することにしました。そして、前回に比べて大幅な密度アップをしました。

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ついでにマイコンの書き込みボードも搭載しています。

 

Dビューがこちら

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前回までの基板と比べると、大幅に高集積になってることがわかると思います。

 

このデータをElecrowに発注。

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今回も黒色基板にしました。(左の基板は次の工作の分)

 

これを実装するとこんな感じ

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ポリスイッチがしばらく届かなかったので、とりあえずはジャンパー線で代用しました。

実は今回はコスト削減のために部品を一部をebayで購入したので、届くのが遅かったのです…(実は当初はMOSFETebayで購入していたのですが、偽物が届いて急遽MOSFETを変更して、ポリスイッチも変わったという…)

続きは次回

製作日記 VVVFをつくってみた その2

前回からの続きです

 

とりあえずは直流モータ回してみよーってことで、直流モータを回してみる。

だが、ある程度の周期で回転が止まるという事故が発生…

ブートストラップコンデンサの容量が足りていなかった、という問題と、ブートストラップの使い方を間違えていたということが判明して、コンデンサを交換して対処。

P_20170913_185321_vHDR_On
 

問題がないことを確認できたので今度は誘導モータを用意

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風切り音がすごいので音量に注意してください

とりあえずは、低圧で実験してみました。結果モータは回転したので、ちょっとずつ電圧を上げてみます。40Vぐらいまで実験して、問題がなさそうだったので、今度はDC280V(リップルがあるので厳密には平均DC260~270ぐらい)をかけてみることに。

「パチッ」という音とともにヒューズが飛んだ…

なんでだーと思ってもう一度低圧に戻してみると、どうやらどうやら瞬間的に過大電流が流れてる?なことが判明。実はプログラムでデッドタイムを入れていたはずが、ミスでうまく挿入されていないことが判明。ここでIR2110のゲトドラにデッドタイム自動挿入機能がないことも判明… 

とりあえずプログラム側で修正して、実験継続

 


モータからの異音に注意してください

今度は変な音がするなあと思いながらも、「回ったー」と思ってしばらく眺めていたら、またも「パチッ」と音がして停止…

あれれ…なんでだーと思ってヒューズを変えてもまた切れる… そして挙句の果てにはIGBTがお亡くなりに… 

いろいろと試しているうちに、どうやら非同期から同期に切り替わるタイミングかその逆でヒューズが切れていることが判明。プログラムを確認したら条件によって、デッドタイムが入らないことがわかって、修正

今度は問題なさそうだったので、今度はシリアル通信を追加 なんだがどうやら割り込みで失敗するのか、たまにモータから異音… 仕方がないのでシリアル通信は諦め…


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とりあえずは京急もどきの音が流せたので、100円ショップでかった網の箱にVVVFのユニットを挿入して完全防止を図ることに

 


しばらく京急もどきの音を流して問題がないことを確認して、とりあえずは終了。(再現ではないので音はめちゃくちゃです…)

この後は本物を音を再現しようと思ってたのですが、シリアル通信だけで間に合わないくらいの処理速度ではちょっと無理があるなあということで、デッドタイム自動挿入のゲートユニットを設計することに、続きはかなり先に実施することに変更しました。

壊した部品はヒューズが10本くらい、そしてIGBT2つ… 自分の実力のなさが浮き彫りになった一作目の工作でした。

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