モータの鳴らし方byHanDen

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2019年12月

KiCad5の使い方 8章フットプリントエディタの使い方

使用する部品によってはフットプリントを編集しなければならない場合があります。今回はその編集方法を紹介します。

 

フットプリントの修正操作は基本的にプリント基板エディタのフットプリント版のようなものですが、配線が無いなど異なる箇所もあります。

 

8-1基板上に配置したフットプリントの編集

プリント基板エディタ上で編集したいフットプリントを右クリックして「フットプリントエディタで開く」(下図選択項目)をクリックしてフットプリントエディタを起動します。

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8-1 編集画面


まずは、基板上のフットプリントを編集する際に使う機能を紹介します。

1 基板に変更を保存 現在編集しているフットプリントの変更点を基板上に反映させる機能です。

2:パッドを追加 コンポーネントの端子や固定穴などをあけるパッドを追加する機能です

3:図形ライン(円,円弧,図形ポリゴン,テキスト)を追加 シルク上に図形や文字などを追加する機能です

 

8-1-1パッド・シルク・文字・図形の移動

プリント基板でのフットプリントの移動と同様に、移動したいものにカーソルを当てて「M」キーを押し、移動先でクリックします。移動の位置はグリッドの位置を参考にするほか、画面右下の座標表示や、次に紹介するパッド設定で座標を入力して設定します。

グリッド幅は上部の「グリッド:〇〇mm」部(下図)で調整します。基本的に1.27mm2.54mm程度にするとよいでしょう。

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8-1-2パッドの設定の変更

穴の大きさや種類、穴の周囲のパターンの大きさ(以後パッドサイズ)やパッドの位置などの変更も可能です。

編集したいパッド上にカーソルを置いたうえで「E」キーまたは右クリック「プロパティ」(下図選択項目)をクリックして「パッドプロパティ」を開きます。

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8-2 パッドプロパティ

この画面でパッドの各種設定が可能です。主に使用する設定項目を以下に示します。

1:パッド形状 パッドの種類を変更できます。スルーホール部品や固定穴は「スルーホール」、表面実装部品は「SMD」を選択します。表面実装のコネクタの場合は「コネクタ」を選択します。表面実装ではないのコネクタの場合は「コネクタ」では無く「スルーホール」を選んでください。「コネクタ」では穴が開きません。固定穴など電気的接続が無い穴はNPTHを選択します。

2:形状 パッドの形状を変更できます。基本的には円形ですが、部品形状や必要強度によって楕円などの形状に変更します。1番ピンの場合は四角にすると区別がついてわかりやすくなります。

3X(Y)位置 パッドを配置する座標を入力します。原点(基本的に1番ピン)からの位置の距離を入力します。

4:サイズX(Y) パッドサイズを設定します。円の場合は直径、楕円の場合はX,Y各方向での直径、四角や台形の場合は幅と高さになります。円の場合は、サイズYは入力できません。(台形の場合上辺と下辺の差は「台形のデルタ」に入力します)

5:穴形状 ドリルの穴の形状を入力します。基本的には「円形穴」ですがコネクタなど足の形状に応じて「楕円穴」と使い分けます。

6:穴サイズX(Y) ドリルの穴の直径(楕円形状の場合はX,Y各方向の大きさ)を入力します。部品の足の直径に応じて変更してください。部品の足より少し大きめにしておかないと足が刺さらなくなるのでご注意ください。

 

パッドがNPTHの場合はドリルの直径とパッドの直径を同じにします。

使用することは少ないですが、片面のみに銅箔を設けるなどをしたい場合は右側下部のレイヤーを変更します。

 

8-1-3パッドの追加

右側ツールバーの「パッドを追加」(図8-12)をクリックしてパッドの配置モードに入ります。パッドを配置したい個所でクリックするとパッドが配置されます。通常は既存のパッドと同一のパッド設定でパッド番号は続き番号になります。パッドの設定を変更する必要がある場合、先ほどと同じように編集します。

 

シルクへの図形の配置はプリント基板と同様の手順で作業が可能です。詳しくはプリント基板エディタの記事をご覧ください。また、シルク以外にも画面上のみで確認できる「F.Fab」や「B.Fab」レイヤーにも図形配置が可能なので必要に応じて使い分けてください。

 

編集が完了したら、上部ツールバーの「基板に変更を保存」(起動画面の図の↑1)をクリックして変更結果を保存します。

 

8-1-4図形の追加

右側ツールバーの「図形ライン(円,円弧,図形ポリゴン,テキスト)を追加」(図8-13)をクリックして図形の配置モードに入ります。部品の形状に合わせてプリント基板と同様にシルク線などを引いていきます。

 

8-2フットプリントライブラリの編集

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1-2 起動画面

 

まずは「フットプリントエディタ」(図1-2の↑4)を起動させます。

起動すると、先ほどの基板上のフットプリントの編集画面とほぼ同じ画面が表示されます。

ただしライブラリの編集の場合操作が大きく異なります。

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8-3起動画面

□←1:ライブラリ 編集するライブラリ・フットプリントの選択を行えるほか右クリックで既存のライブラリへのフットプリントの追加、新規・既存のライブラリの追加なども行えます。

2:新規フットプリント 新たなフットプリントを作成します。このボタンを使用すると作成時点では保存先のライブラリは選択されません。

3:フットプリントウィザードを使用した新しいフットプリント パッケージの種類とパラメータを入力することで簡単にフットプリントを作る機能です。

4:ライブラリに変更を保存 現在編集中のフットプリントを指定のライブラリに保存します。

5:フットプリントのプロパティー フットプリントのプロパティーの変更を行います。

6:パッドのプロパティー パッドのプロパティーの変更を行います。

 

フットプリント自体の編集は基板上のフットプリント編集と同様です。そのためフットプリントの作成と保存のプロセスを説明します。

 

8-2-1 フットプリントの作成

まずは、編集するライブラリの選択を右クリックし「新規フットプリント」(下図選択項目)をクリックして新規のフットプリントを作成モードに入ります。ただし、初期状態で導入されているライブラリはProgram Filesに位置していて、ライブラリに上書き保存ができないので新しいフットプリントの作成や編集はできません(作成しようとするとエラーが出ます) 

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新規の画面に入った後は部品の外形線やパッドなどを配置していきます。

保存の際は上部ツールバーの「ライブラリに変更を保存」(8-34)をクリック(または保存ショートカットキー「ctrl + s)で保存を行います。

 

 

 

8-2-2既存のライブラリ内のフットプリントの編集

ライブラリ内から編集したいライブラリの[+]をクリックしてフットプリント一覧を表示させ、編集したいフットプリントをダブルクリックまたは右クリック「フットプリントを編集」をクリックすると編集モードに入ります。保存の際は上部ツールバーの「ライブラリに変更を保存」(8-34)をクリック(または保存ショートカットキー「ctrl + s)で保存を行います。

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8-2-3ウィザードによるフットプリントの作成

上部ツールバーの「フットプリントウィザードを使用した新しいフットプリント」(図8-33)をクリックして「フットプリントウィザード」を開きます。
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作成したいフットプリントの種類を選び「OK」をクリックします。なお、作りたいフットプリントの種類が、この中に無い場合はウィザードで作成することはできません。

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8-4 フットプリントウィザード

左側に各種パラメータが表示されるので、それぞれ入力します。画面右側で完成イメージが、左側下部に完成時のパラメータが表示されます。

最後に上部の「エディタへフットプリントをエクスポート」(図8-4の↑)をクリックして、フットプリントエディタに反映させます。

保存の際は下図のように保存先のライブラリの選択画面が表示されます。保存したいライブラリを選択して下部の「保存」をクリックすると保存が完了です。

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8-2-4 新規ライブラリの追加・既存ライブラリの読み込み

 新規ライブラリを作る場合は「ライブラリ」(8-3□←1) 内の任意の場所で右クリックをして「新規ライブラリ」(8-51)をクリックします。ライブラリの保存先を聞かれるので任意の場所(ライブラリを保存したい場所)に保存をします。すると、ライブラリテーブルを選択ウィンドウが表示されます。現在開いているプロジェクトのみで使用したい場合は「プロジェクト」、プロジェクトに関係なくいつでも使用したい場合は「グローバル」を選択して下部の「OK」をクリックします。

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8-5 ライブラリ追加
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 既存のライブラリを追加する場合は右クリックで「ライブラリを追加」(8-52)をクリックして追加したいライブラリのフォルダを選びます。以後の操作は新規ライブラリの追加と同様です。

KiCad5の使い方 目次

KiCad5の使い方
目次

1章KiCadの初期設定
http://blog.handen.net/archives/20804511.html

2章 回路図エディタの使い方
http://blog.handen.net/archives/20804885.html 

3章 PCB Parts Libraryのセットアップ
http://blog.handen.net/archives/20805521.html

4章 シンボルエディターの使い方
http://blog.handen.net/archives/20807934.html

5章プリント基板エディタPcbnewの使い方 その1
http://blog.handen.net/archives/20834925.html

5章プリント基板エディタPcbnewの使い方 その2
http://blog.handen.net/archives/20898093.html

5章プリント基板エディタPcbnewの使い方 その3
http://blog.handen.net/archives/20913926.html

6章データの確認とDRC
http://blog.handen.net/archives/20914426.html

7章面付とデータ出力・発注
http://blog.handen.net/archives/21338761.html

8章フットプリントエディタの使い方
http://blog.handen.net/archives/21363432.html

KiCad5の使い方 7章面付とデータ出力・発注

7-1 面付

小さな基板を複数作る時など、複数の基板を1枚にまとめる場合は面付を行う必要があります。面付けを行うために、Pcbnewをプロジェクトを介さずに直接起動させます。(インストールディレクトリから「pcbnew.exe」を直接起動

起動したら、面付後の基板の外形寸法の枠を、「外形線」レイヤーで引きます

続いて、基板のデータを読み込みます。ファイルメニューの「基板を追加」(下図選択項目)から、面付を行う基板のデータ(*.kicad_pcb ファイル)を読み込みます。
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 基板データを読み込むと、カーソルに面付を行う基板がついてくるので、基板上の配置したい箇所に面付する基板を配置します。すべての基板の面付が完了するまで、この作業(データ読み込みと配置)を繰り返します。また、部品の移動の時と同様に回転(R」キー)なども行えます

 また、一度配置した面付を行う基板を選択(基板上でカーソルをドラッグ)すると、移動することもできます。面付を行うと、図7-1のようになります。この際に、ラッツネストの白線が表示される時がありますが、無視してください。

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7-1 面付

7-2 ガーバデータ出力

メニューバーの「ファイル」「プロット」(または上部ツールバーの「プロット」(図7-2↓))をクリックして「製造ファイル出力」ウインドウを開きます。

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7-2 上部メニュー

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7-3 製造ファイル出力

基本的には画像のように設定します。注意しておく点としては、レイヤー(図赤□)で「F.Cu」「B.Cu」「B.SilkS」「F.SilkS」「B.Mask」「F.Mask」「Edge.Cuts」が選択されていること、「ガーバオプション」の「Protelの拡張子を利用」(7-31)にチェックが入っていることを確認すればよいでしょう。また、ビア上のレジストを除去したい場合は「ビアのテンティングを禁止」(7-32)にチェックを入れます。(除去すると熱などによる長期的なビアの損傷を防げるがビアの金属部が露出する)「出力ディレクトリ」は空欄の場合は製作中のデータがあるフォルダに出力ファイルが入ります。変更したい場合は適時変更してください。そして下部の「製造ファイル出力」をクリックして基板のデータ(パターンデータ)を出力します。図ではデータのあるフォルダに作った”gerba”フォルダに入ります。

 

続いて穴のデータを出力します。「製造ファイル出力」ウインドウの下部の「ドリルファイルの生成」をクリックして「ドリルファイルの生成」ウインドウを開きます。

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7-4 ドリルファイル出力

基本的には画像のような設定にしておけば大丈夫です。確認事項としては多くの中華基板業者では穴の内側に銅箔メッキのあるスルーホール(PTH)とメッキのない機構穴(NPTH)のファイルは1つする必要があるので「PTHNPTH1つのファイルにマージ」(1)にチェックを入れます。基板業者によっては別々に出力するところもあるのでそれに従うようにしてください。また、データファイルフォーマットは「ガーバ」(2)ドリル単位は「mm(3)(先ほどのパターンデータの単位と同じ)ゼロの扱いは「小数点フォーマット」(これにしないとFusionPCBのガーバビュワーなどでバグる)にも注意してください。確認が出来たら「下部のドリルファイルを出力」をクリックしてドリルファイルを出力します。

最後に、各ウインドウの「閉じる」をクリックして終了させます。

 

これにて基板データの作成は終了ですがFusionPCBなどの業者に注文する際は一部ファイルの拡張子の変更とファイルのzip化が必要です。FusionPCBのサポートページ(http://support.seeedstudio.com/knowledgebase/articles/1176223-%E3%82%AC%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%92%E5%87%BA%E5%8A%9B%E3%81%99%E3%82%8B%E6%96%B9%E6%B3%95)にファイル送信時の拡張子が書かれています。

pcbname.GTL:表銅箔

pcbname.GTS:表ソルダマスク

pcbname.GTO:表シルク

pcbname.GBL:裏銅箔

pcbname.GBS:裏面ソルダマスク

pcbname.GBO:裏面シルク

pcbname.TXT:ドリル

pcbname.GML/GKO:基板外形

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出力したファイルはこのようになっており、基板の外形線(拡張子.gm1)とドリルファイル(拡張子.drl)以外FusionPCBの指定する拡張子で出力されています。そのため、FusionPCBの指定する拡張子になっていない外形線とドリルファイルの拡張子を変更します。ドリルファイルは拡張子を「drl」から「txt」に、外形線は「gm1」から「gml」に変更します。(厳密には変更しなくても通るっぽいですが、公式ルールに合わせましょう)
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このようになっていれば大丈夫です。そして最後にこれらのファイルを一つのzipファイルに圧縮して、FusionPCBのサイトで注文を行います。

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