Makerとして基板を作り始めてもう4年になりますが、ちょっとずつ小さな部品が乗ったを作るようになってきました。最初はすべてDIP/スルーホール部品の基板から始まり、その中での高密度化→受動部品の表面実装化等(2012サイズ)→マイコンの面実装化と1608サイズ使用開始と続けてコネクタ以外の多くの部品の面実装にしてかつ細かい部品を使うようになってきました。そして、今回の最新作の曲がる電光掲示板ver2の基板では100ピンのSTM32の手はんだでの実装を行いました。

 ここで、問題となってくるのが基板の品質です。高密度に配線行うと銅箔面のゴミなどでのショートのリスクや配線の断線、またQFP等のピッチの狭いピンでのレジスト抜けなどが致命傷となる可能性があります。実際筆者も様々な中国の基板業者に依頼する中でこのようなパターン近傍でのゴミやレジスト抜けなどを見てきました。(ゴミは低密度の時であったため動作には影響なく、パターン切れも無かったのは幸いですが)

 

 複数の業者で基板製造を行ってきた中で自分の中でも最も品質が安定していると感じているのがSeeedさんのFusionPCBです。筆者も過去7回ほど注文してきていますが、上記のようなゴミやレジスト抜けなどの経験もなくシルクを含めた基板の外観も安定しています。今回はFusionPCBで製造した最新作の基板の紹介をします。

まずは基板の全体像です。
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シルクについても目立つ擦れなどが無くきれいにできているほかビア上のレジストもKiCadの設定どおりきっちりと抜かれています。ビア上のレジストは抜いたほうが熱破損の恐れが少なく長期間の使用には向くようです。(結構な確率で設定忘れるのですが…)

 

続いてSTM32が乗るQFP100の部分の拡大写真です。
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きっちりとピン間までレジストが入っているため安心してはんだづけができます。このくらいのピッチになると全体にはんだを載せてからこて先で余剰なはんだをとっていく形でのはんだ付けになるためレジストが入っていないと大変です。パッドに元からついているはんだはちょっとムラがあるように見えますが特に問題はないです。

 

続いて実装基板です。
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特に特徴ってものはありませんが、将来計画中のMIDIに合わせた表示やMIDI音声出力機能、SDカードのソケットも搭載しています。100mm四方の基板ですが結構な量の部品を詰め込んだため配線は結構複雑なことになっています。
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回路図だとA21枚程度なのでそこまで複雑ではありませんがSTM32のピン数故にマイコン周辺の配線を通すのには苦労しました。
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そしてマイコン部の実装拡大写真です。
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鉛入りはんだを使用してはいますが無事はんだ付けができました。

 

続いて発注関連についても紹介します。

KiCadの場合はProtelの拡張子を使用の設定にしたうえでガーバデータとドリルファイルを出力します。

参考までに出力画面も出しておきます。
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drlファイルはtxt,gm1gmlに拡張子を変えます。(そのままでも行けそうですが念のため)そしてそれらをzipファイルに出力します。詳細はFusionPCBのマニュアルを参考にするのが確実です。デザインルール等も公式に情報があるのでチェックするようにしましょう。ただし、デザインルールぎりぎりを攻めすぎると断線などのリスクはあり得るので多少の余裕は見ておいた方が良いでしょうか。

 

 発注データが作成できれば注文ページ(https://www.fusionpcb.jp/fusion_pcb.html)からガーバデータを追加して基板サイズや枚数、レジスト職、基板の厚さなどを設定します。100mm*100mm以下10枚以下で艶消し黒以外は4.9ドルです。大きくなったりすると値段が高くなります。ファイルをアップロードした時点でビュワーで出来上がり予想も見れます。(ここはFusionPCBの強み)

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設定が出来たらカートに入れて発注手続きに進みます。

配送業者は昔はシンガポールポストとかも選べたのですが今は少しお高めのJapanDirectLineが最安ですが追跡がほとんどできない(日本に入ってからの佐川のみ)のでちょっと不安です。少し高くなりますがOCSは速いうえに追跡もできます。(SGPostがあった時代は送料と基板5枚で7.9ドルという鬼コスパがあったのですが無くなってしまってちょっと残念)

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最後の支払いは安心安全なPayPalが良いと思います。

PayPalでの支払いを完了させれば無事発注完了です。だいたい1週間(HPには3~4日って書いてますがその日数で出荷されたことはぼありません)で発送されて、その後1週間の配送で2週間ちょっとぐらいで届きます。納期に関しては他社の方が早いってのが本音ですが安さと品質を考えると良いほうかなと思います。

ちなみに、FusionPCBの場合基板に加えて実装までのPCBAサービスもあるようです。自分の場合は手持ち部品を使って作品を作ることが多いので使いづらいですが、Makerとして頒布等する場合は新規部品を使うのが基本でしょうしはんだ付けの手間等を考えると結構使えそうなサービスかなと思います。