まずは起動画面の回路図のようなアイコン(下図↑1)をクリックしてEeschemaを起動します。
起動画面のよく使う機能は以下の通りです。
↑1:ページ設定を編集
回路図のシートの大きさや製作者名などを設定できます。
↑2:回路図シンボルをアノテーション 回路図を作成した後に各部品に番号を振る機能です。
↑3:エレクトリカルルールのチェックを実行 描いた回路図に電気的な異常がないかどうかをチェックする機能です。
↑4:ネットリストの生成 描いた回路図を基板設計のツールに受け渡すデータを生成する機能です。
→5:シンボルを配置 回路図の要となる回路の部品等の配置をするツールです。
→6:電源ポートの配置 電源やGNDの部品の配置を行うツールです。
→7:ワイヤーを配置 部品同士をつなぐ配線を描くツールです。
→8:バスを配置
複数の配線をひとまとめにしてつなぐツールです。大規模な回路にならないと使うことはないと思われます。
→9: 未接続フラグを配置 マイコンやコネクタ等で使用せず空きになっている端子に取り付けるフラグです。エレクトリカルルールチェックでエラーが出ないようにするために使います。
→10:ジャンクション(接続点)を配置 ワイヤーの交点を接続する際に使用します。
→11:グローバルラベルを配置 回路図でラベルを配置したい場合に使用します。同じ名前のラベルは回路図上で接続されたとみなされるので注意してください。
→12:アイテムを削除 部品や配線等を削除したいときに使います。
なお、大規模な回路の場合は→11と→12の間アイコンの階層分けの機能を視野性が高まりますが、KiCadの場合あんまり使い勝手は良くないのでここでは紹介しません。
最初に回路の規模に応じてページサイズを設定します。
左側の「サイズ」部から適当なページサイズを設定します。小規模な回路ではA4中規模でA3大規模だとA2ぐらいが良いでしょう。
2-1 部品の配置
「シンボルを配置」(図2-1 →5)で部品の選択モードに切り替えます。カーソルが鉛筆に変わっていることを確認して、部品を配置したい場所で、左クリックをすると、「シンボルを選択」ウインドウが表示されるので、配置したい部品を選びます。なお、ver5では起動後初回に限り表示まで時間がかかるようになりました。
シンボルは種類別に分類されているのでその中から選べます。また、「フィルター」(図2-3←)のところに部品名を入力して検索をかけることもできます。
KiCadのライブラリでは、下図のように同じNchのMOSFETでも端子の配置順に複数登録されているものがあります。この場合は必ずデータシートを確認して使用する部品に適合した部品を選択します。(使用する部品の型番ごとにピン配置が異なる場合があるためです)
2-2 部品の型番または定数とフットプリントの設定
「Esc」キーで通常モードに戻り、配置した部品上にカーソルを置いた状態でキーボードの「E」キーを押すか、右クリック、「プロパティー」、「プロパティーを編集」で、シンボルプロパティーを開きます。
ここで、回路図上で部品の定数やほかの部品と重なって表示されている場合は下図のように「明示的な選択」というメニューが出ます。ここでは設定したい方の「シンボル〇〇」を選びます。
以後同様のメニューが表示された場合は、編集したい部品を選択します。
「定数」(図2-4 ←1)の部分に型番または部品の定数を設定します。次に「フットプリント」をクリックし右側のライブラリアイコン(→2)を選び、フットプリントの選択画面に進みます。
ブラウザ内から、使用する部品に適合したフットプリントを選択します。
探すライブラリはICでは「Package_**」、MOSFETやトランジスタでは「Package_TO_SOT_***」、抵抗器やコンデンサ、ダイオード、コネクタなどは部品名のライブラリです。また、ライブラリ名でTHTとあるのはスルーホール部品で、SMDとあるのは表面実装の部品です。これらのライブラリの中から、使用する部品と同じ、大きさやピッチ、パッケージのフットプリントを選びます。(間違えると基板が使えなくなります)ライブラリ内にフットプリントが存在しない場合は自分でフットプリントを作る必要があります。
正しいフットプリントが選べたら、フットプリント名をダブルクリックすると、フットプリントが確定され、シンボルプロパティーに戻ります。そして、「OK」をクリックしてフットプリントの設定を確定させます。
部品の挿入とフットプリント・型番or定数の挿入の操作を繰り返して、設計する回路に必要なパーツをすべて回路図上に配置します。部品はコピーすることができるので、同じパーツが複数ある場合は、フットプリントを設定したあとでコピーをすると手順を大幅に減らすことができます。
コピーは、コピーしたい部品上にカーソルを置いて「C」キーを押すまたは部品上で右クリック,「複製」をすると、マウスカーソルの先端にコピーされたパーツがくっつき、コピー先でクリックするとコピーが確定されます。
2-3部品同士のワイヤー接続
「ワイヤーを配置」(図2-1→7)でワイヤーの接続モードに入り、図2-6の↑で示したような各部品のピンの先端の未接続の印(〇又は□の印)の部分をクリックしてワイヤーの接続を始めます。
図2-6 ワイヤー配置
「ワイヤーを配置」(図2-1→7)でワイヤーの接続モードに入り、図2-6の↑で示したような各部品のピンの先端の未接続の印(〇又は□の印)の部分をクリックしてワイヤーの接続を始めます。
続いて、ワイヤーの反対側を接続したい部品の未接続の印の上(図2-6↑の左側の抵抗器の〇印)でクリックするとワイヤー(配線)が接続され、接続された箇所の未接続の印が消えます。ここで、印が消えていない場合は配線が接続されていないので、戻って再度接続を行います。なお、配線途中でクリックするとその場所で配線を折り曲げることができます。
図のOUTタグの所などワイヤーを分岐する個所では、ワイヤーの途中から、ワイヤー引き始めるあるいは、引き終えることで配線の分岐・結合となります。この際に接続のジャンクション印(図2-7→1の●印)が表示されていることを確認します。もし、接続したい交点でジャンクション印が表示されてないときは、ジャンクションの配置モード(図2-1→10)に入り、接続したい交点をクリックしてワイヤーを接続します。逆に接続しない箇所で誤ってジャンクション印を配置した場合は、削除モード(図2-1→12)でジャンクションを削除します。(削除対象を右クリックして削除を選ぶことや、削除対象にカーソルを置いて「Delete」キーでも削除可)
すべての部品同士をワイヤーで正しく接続できるまでこの作業を繰り返します。配線を間違えた場合は先述のジャンクションの削除と同様に配線を削除してください。また、コネクタやICなどで端子を未接続のままにする場合は、「未接続フラグ」(図2-1→9)を未接続の端子に配置します。また、「ドラッグ」を用いると配線が接続されたまま、部品を移動できます。
2-4 アノテーション
「回路図シンボルをアノテーション」(図2-1↑2)より「回路図をアノテーション」を開きます。
基本的に初期設定のままで問題ないので下部の「アノテーション」をクリックしてアノテーションを実行します。アノテーション作業は取り消しができないというメッセージが出るので、確認して「OK」をクリックするとアノテーションが実行されます。
アノテーション後に回路図を変更してパーツが増えた場合は、再度アノテーションを実行します。また、一度アノテーションクリア、再度アノテーションをすれば、部品の番号がきれいに並ぶので必要に応じて使い分けます。
2-5 ERC
「エレクトリカルルールのチェックを実行」(図2-1↑3)より「エレクトリカルルールチェック(ERC)」を開きます。
下部の「実行」をクリックするとエラーチェックが始まり、問題個所があれば自動的に警告またはエラーが出てきます。
サンプルのような回路でチェックを実行するとこのようにエラーメッセージが出ます。上2つのエラーは電源端子に「PWR_FLAG」が配置されていないため起きるエラーです。「電源ポートを配置」(図2-1→6)から「PWM_FLAG」を電源とGNDに接続することで解決します。上から3つ目のエラーはピンがどこにも接続されていないときに出るエラーで、一番下のエラーはラベルを配置したときに、そのラベルがどことも繋がっていないときに出るエラーです。
他に、各パーツのピンの設定が「不特定」になっている場合には下のように「ピン間の衝突問題」といったエラーが表示されることもあります。これの対策は次回紹介します。
ERCで出たエラーを解決または問題ないと判断できた場合は回路図作成の最後の作業である「ネットリスト」の生成に移ります。
2-6 ネットリスト出力
ネットリストはプリント基板を描くソフトウェアに部品のリストや接続情報などを送り出すためのファイルを生成する機能です。
「ネットリストを生成」(図2-1↑4)より「ネットリスト」を開きます。
図2-10 ネットリスト
KiCadのプリント基板エディタはPcbnewなのでそのまま右の「ネットリストを生成」をクリックしてネットリストを生成します。保存先はデフォルトのままで大丈夫です。
これで、回路図の作成は完了です。
回路図のサンプルはこんな感じです。